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Thursday, February 18, 2016

大阪入管のハンスト、2月15日に解除







  大阪入管の被収容者が、2月10日(水)から集団ハンガーストライキをおこなっていましたが、15日(月)の昼食より全員が食事を再開し、ハンストは解除されました。

  被収容者側が求めていた処遇の改善や長期収容の回避について、けっきょく大阪入管からの回答はありませんでした。しかし、いくつかの報道が出るなど、大阪入管収容場の苛烈な人権侵害状況が一般に知られるところともなりました。15日の朝までハンストを続けていた6人の話し合いの結果、この点で一定の成果は得られたと判断し、今回はハンストを解除することにしたということです。

  12日の大阪入管前での抗議行動、また同じ日の面会行動に参加してくださったみなさま、電話などで入管に抗議をおこなってくださったみなさま、ありがとうございました。


◇        ◆        ◇        ◆        ◇        ◆        ◇        ◆


  なお、大阪入管は、要求書について被収容者側には回答しませんでしたが、『大阪日日新聞』(2月14付け)等によると、報道関係者からの取材に対して、「いずれ[の要求]も合理的理由が認められないか、法的に実現し得ない」と説明しているようです。この「説明」は、人を馬鹿にするにもほどがあるというべきものです。

  たとえば、診療や定期健診を受けたいという要求について、さすがに「法的に実現し得ない」とはいくら大阪入管でも言わないでしょうから、これは「合理的理由が認められない」ということになるのでしょう。半年や1年をこえて監禁的に収容されている人がいるなかで(3年超という女性もいます!)、定期健診を実施してほしいという要求は、十分に「合理的理由」のあるものではないのでしょうか?  また、体調不良者について診療を受けたいという要求に「合理的理由」があるかどうか判断するためには、医者がこのひとを診なければならないはずですが、大阪入管が診察を認めずこばんでいるからこそ、このような要求が出てこざるをえないのです。

  こう考えると、大阪入管の「いずれ[の要求]も合理的理由が認められないか、法的に実現し得ない」との記者への説明は、理解しがたいものです。要求書をまともに読んでいないのか、あるいは、そもそも診療等を被収容者たちが要求することそのものについて、入管側がまじめに取りあう「合理的理由」を認めていないということなのか、どちらかとしか考えられません。いずれにしても、入管の記者へのこの「説明」はふざけきっているとしか評しようのない回答です。

  前々回の記事で述べたように、大阪入管の職員が「(改善を)要求する権利はない」と発言したことが、今回のハンスト決行の契機のひとつとしてありました。おなじ報道によると、大阪入管は取材に対して「職員の発言の事実はない」と否定しているようです。

  私たちは、3人の被収容者それぞれから、この発言がたしかにあったことを裏付ける証言をえていますし、証言をしたのはいずれも日本語に堪能な人たちでもあって、職員の発言を3人が3人ともおなじように誤解して受け取るとは、とうてい考えられません。いっぽう、大阪入管側は、「(改善を)要求する権利はない」との職員による発言を聞いたとしている被収容者への聞き取りなどは、おこなっていません。もっぱら職員側への調査のみで「職員の発言の事実はない」と取材にはこたえているわけです。

  しかし、「職員の発言の事実」があったかどうかは、もはや、ある意味、あまり大きな問題ではなくなりました。大阪入管は、定期健診や体調不良者の診察を求めることすら「合理的理由が認められない」と記者に対して言っているわけですから。基本的人権にかかわることすら被収容者に「要求する権利はない」というのが、事実上、大阪入国管理局(伊東勝章局長)の局としての見解であることが、あきらかになったのです。

  ハンスト開始後も、大阪入管は、被収容者との対話にはいっさい応じることなく、「リーダー」とみなしたFさんを、たんに「リーダー」とみなしたという一点の理由のみで4日間以上にわたって懲罰房に監禁するなど、暴力的な制圧に終始しました。対話の要求(それも、あくまでも非暴力的な手段での呼びかけと言うべきものです)に対して暴力で答える、というのが入管による「応答」であり「回答」であったのです。

  さて、「(改善を)要求する権利はない」と発言した職員は、おなじ場でもうひとつ、問題発言をしています。以下、前々回の記事から抜粋します。

  おなじ職員は、収容期間が長期化している理由について「あなたたちをすぐに出してたら、他の人も帰らなくなる」とも発言したといいます。被収容者の多くは、難民申請の審査中であったり、行政訴訟をおこなっていたりで、その結果次第では在留資格をみとめられることもあります。入管にとって当面は送還可能な見込みはないわけです。職員のこの発言は、送還の見込みの立たないひとに対し、長期収容によってその心身をいためつけて帰国へと追い込もうという入管側の意図を、臆面もなくみずからさらけ出したものです。

 “長期収容や再収容を帰国強要の手段としてもちいる”という入管の手口の延長線上にあるものとして、今回の大阪入管の対応を理解する必要があります。この点で、「あなたたちをすぐに出してたら、他の人も帰らなくなる」という発言についても、たんにこの職員個人の問題にはとどまらないとも言えます。肉体的・精神的な拷問によって帰国へと追い込む、というのが、現在の“入管のやり方”にほかならないのです。

  その意味で、入管の収容施設は、虐待によって帰国を強要しようとする入管側と、どうしても帰国できない被収容者とのあいだに、たえまなく闘争が生じている場所と言えます。ハンストが解除されても、こうした闘争・対立がやむわけではありません。

  収容施設の外にいる私たちとして、長期収容・再収容、また劣悪な処遇を手段とする帰国強要をゆるしてはいけないと考えます。今後とも、ご支援・ご注目をよろしくお願いいたします。

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