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Sunday, February 14, 2016

大阪入管被収容者ハンストの状況(2月12日現在)

1.27人がハンスト継続中

  2月10日(水)に開始された大阪入管ハンストについて、その後の状況です。12日(金)に、TRY(外国人労働者・難民と共に歩む会)、WITH、難民支援コーディネーターズ関西、仮放免者の会の4団体ほかの支援者が、被収容者との面会をつうじて調査しました。



  すでにお伝えしたとおり、被収容者のハンストに対し、大阪入管側は、「リーダー」とみなしたFさんを「懲罰房」に隔離し、またハンストへの参加・非参加にかかわらず、男性被収容者全員の開放処遇を停止して、それぞれの居室へと閉じ込めました。Fさんについては完全に外部との接触を断ち、支援者との面会も禁止。Fさん以外の男性被収容者全員については、面会以外の電話等の通信手段をうばいました。この措置は、10日の午後から11日まで続けられました。

  ハンスト3日目をむかえた12日(金)午前の時点でのハンスト参加者は、Bブロックが開始時の21名から6名増えて27名です。もう一方のAブロックは、のちに述べる経緯などがあって、ハンストを解除、開始時23名だった参加者の全員が摂食を再開しました。

  大阪入管側は、ハンストを解除したAブロックに対しては、12日午前より開放処遇を通常通りの運用(9:30~11:30, 13:30~16:30)に戻しました。

  しかし、ハンストを継続しているBブロックに対しては、午前中に1時間だけ開放処遇にして電話やシャワーなどができるようにしましたが、午後からは施錠した居室に閉じ込めています。

  「リーダー」とみなされて10日に「懲罰房」に隔離されたFさんは、依然として「懲罰」を受けているようで、Bブロックの居室には戻っていません。この日も、大阪入管は「保安上の理由で」などと称して支援者との面会を許可しませんでした。

  Bブロックでは、Fさんとはべつのもう1名(Mさん)が、職員たちによって居室から連れ去られたとの情報もあります。Mさんは、脳梗塞のリスクがあるひとで、昨年10月中旬に右半身の麻痺とろれつがまわらないなどの症状が出て倒れ、大阪入管から病院に救急搬送されたひとです。さいわい症状は一過性で、後遺症はのこりませんでしたが、病院からもどったあとも一時的に右半身が動かなくなったり、激しい頭痛、高血圧といった症状をうったえています。Mさん本人や支援者が、大阪入管に対してくりかえし診療を求めていますが、救急搬送後の4ヵ月間、医者による診察を一度も受けていません。Mさんは、この日、処遇に関して強く抗議をしていたようです。連れ去られた状況を目撃した他の被収容者によると、足元がふらふらの状態のMさんを職員たちは引きずるようにして連れ去ったとのことです。Mさんがどこに連れ去られたのか、確認できていませんが、病院ではなく懲罰房なのだとすれば、人命軽視もはなはだしいです。



2.入管の暴力による制圧と切り崩し工作

  前回記事で全文掲載した被収容者による要求書で指摘されているように、医療ネグレクトをはじめ、大阪入管収容場の人権侵害状況はきわめて劣悪なものです。診療をもとめても拒否され、「病院に行かせて、痛い」と言ってドアを叩いただけで、大阪入管はこれに懲罰をくわえるありさまです。

  大阪入管の収容場は、外界とは「さかさまな世界」です。1月19日に職員が吐いた「[被収容者には]要求する権利はない。入管のルールに従わなければならない」との暴言は、たんに職員個人の失言にとどまるものではなく、大阪入管という組織全体のありようを正確に示したものであるとも言えます。「入管のルール」とは“被収容者は服従せよ”ということであって、大阪入管では被収容者が要求をおこなうこと自体が「ルール違反」とされるのです。つまり、大阪入管がいう「入管のルール」とは、私たちが「暴力的支配」と呼んでいるものにほかなりません。

  被収容者たちは、診療などの要請をそれぞれ個別におこなってきましたし、連名で要求書を提出するのも今回がはじめてではありません。支援者・支援団体も、2014年度以来、医療をはじめとした処遇の改善などを、再三にわたって申入れてきました。しかし、被収容者の連名要求書にも、支援者の申し入れに対しても、大阪入管は局としての回答を一度たりともしてこないまま現在にいたるのです。「入管のルール」とは、“被収容者はだまって入管の言うことを聞け”ということなのだと考えれば、大阪入管のこうした姿勢はよく理解できます。

  こうして大阪入管がずうずうしくも「ルール」と称する暴力によって被収容者の「要求する権利」を否定しおさえつけてきたのに対して、被収容者側はハンガーストライキというあくまでも非暴力的な手段によって意思表示をはじめました。ところが、さきに述べたように、大阪入管は対話で応じるのではなく、暴力をもってこれに応答しました。

  さらに、集団でのハンガーストライキを切り崩すために、卑劣な工作もおこないました。Aブロックのハンスト参加者には、近々帰国予定のひとがいました。このひとが、電話をかけられずに困っているということに目をつけた入管は、かれの友人に対し「あなたがご飯を食べたら、かれが電話をかけられるようにしてあげる」と持ちかけたといいます。

  このような手段をもちいて、入管はハンストを切り崩しにかかり、Aブロックでは最後までハンストを続けていた2人も、12日(金)の朝、ハンストを解除しました。このうちひとりは、「これ以上2人だけでつづけても、ほかの人全員が部屋から出られず、電話もかけられないのはかわいそうだ」と考えて解除するとの判断をしたと、面会で支援者に語りました。



3.支援者による激励行動

  12日は、大阪入管前で12時30分からと13時15分のからの2回、支援者ら20人で被収容者への激励と入管への抗議の行動をおこないました。呼びかけに応じて集まったみなさま、電話などで個別に大阪入管へ抗議をしてくださったみなさま、ありがとうございます。

  入管前の歩道から「みんな、がんばれ」「入管は拷問をやめろ」「病人を病院に連れていけ」「懲罰房の仲間を返せ」「入管は人殺しをやめろ」などと声をあげると、7階の収容場から呼びかけにこたえて「ありがとう」「入管わるい」「人間あつかいしろ」「助けて」「殺さないで」といった大きな声がひびきました。

  このあと、あつまった行動参加者で被収容者たちに面会してきました。ハンストを継続しているBブロックの被収容者は、懲罰房に入れられた仲間のことをみんなが心配していると話しました。かれが戻ってくるまで、あきらめるわけにはいかない、と。



追記)
  右の画像は、1月19日に「要求する権利はない」と発言した職員の似顔絵です。発言を聞いた被収容者のひとりによると、このとき職員は首からさげた、名前もしくは職員ナンバーを記したプレートを裏返しにして見えなくしていたそうです。そのため、私たちもこの発言をした職員がまだ特定しきれておらず、大阪入管内でそれなりの地位にある職員であるようだということ以上はわかっていません。

  入管職員は、公権力を行使する立場にあり、これを行使する権限は法的に与えられたものであるわけです。ところが、このように被収容者の基本的人権を公然と否定する暴言を吐いても、それがどの職員の発言なのかすら明らかにされないというのも、おかしな話です。








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