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Saturday, July 26, 2014

元被収容者が死亡――東日本入管センターに診療の抜本的改革等を申し入れ

  3月末に、被収容者のあいつぐ死亡事件を起こした東日本入国管理センター(茨城県牛久市)ですが、また犠牲者が出てしまいました。


  亡くなったのは、27歳の中国人男性Hさんです。Hさんは肺がんと診断され、在留特別許可を得て出所したのち、7月11日に東京の病院で亡くなりました。

  収容中の死亡ではないといえ、ガンの発見・診断がもっと早ければどうだっただろうかという思いを禁じえません。

  くりかえしこのブログでも述べてきたとおり、東日本入管センターの医療体制は、収容人数等からみての必要にまったく追いついてない状況です。体調の異変をうったえても、外部診療機関で受診できるまでに2週間以上、あるいは1か月以上も待たされるのが常態になっているような施設で、診察が致命的に遅れる事例が出てくるのは、必然とも言うべきことなのです。

  Hさんの死亡事件を受けて、当会はBOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)と連名で、7月24日(木)に東日本入管センターに申入書を提出しました。

  申入書で私たちは、診療の抜本的改革などをもとめましたが、私たちが申し入れた具体的対処をもってしても、センターの診療体制の「正常化」といえる程度の改善にすらほど遠いと言わなければなりません。センターが存続しているあいだは、法務省およびセンターが早急・迅速に抜本的な改革に取り組まなければならないことはいうまでもありませんが、東日本入管センターの閉鎖にふみきらない限り、問題の根本的な解決はないのだということをうったえたいとおもいます。  

  以下に、申入書の全文を公開します。文中に、関連するこのブログの記事などをリンクしておりますので、リンク先の記事も読んでいただければさいわいです。





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申 入 書
2014年7月24日
法務大臣 殿
法務省入国管理局長 殿
東日本入国管理センター所長 殿
            仮放免者の会(関東)
BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)

一、診療(医療)の抜本的改革
本年三月末の相次ぐ死亡事件を受けて、私たちは4月3日に東日本センター閉鎖も含めて申し入れた。その後、6月19日には、法務大臣、法務省入国管理局長、東京入国管理局長、東京入国管理局主任審査官の各位に宛てて、東京入管から東日本センターへの移収を止めるように申入れた被収容者の生命と健康に責任を負わない東日本センターに移収されれば、その被収容者の生命と健康は危機におかれるからである。しかし、現に東日本センターが存在し、地方局、地方支局からの移収が行われている現在、引き続き東日本センターの閉鎖を求めると共に、その存続する期間、診療(医療)問題の抜本的改革を申し入れる。
ついに第3の犠牲者が出てしまった。7月11日に亡くなった中国人Hさん(享年27)である。Hさんは肺癌、転移性脳腫瘍との診断を受け、入院中に在留特別許可を受け、出所の扱いとはなったものの、その後、東京の病院に転院し、転院先で亡くなった。Hさんは東京入管収容中から頭痛、腹痛を訴えており、昨年11月に東日本センターに移収されたのちも同様であった。Hさんが移収された5Aブロックは昨年から今年にかけて何度も診療問題の改善を東日本センター所長宛てに申し出ていた。それは、東日本センターでは診療を申し出ても2週間から1ヶ月、場合によってはそれ以上放置され、また診療を受けたとしても被収容者(患者)からの訴えを医師が誠実に聞かないことがしばしばだと思われるからである。Hさんは在特を受けて放免後に死亡したものであり、3月末に相次いだ被収容者の死亡とは異なる。しかし、被収容者への医療放置においては同様である。一般的に若年者は癌の進行が早いと言われる。もっと早い段階で肺癌が発見されていたら、Hさんの余命は違ったものとなったであろう。Hさんはすでに出所した者だからと責任を放棄するのではなく、なぜ癌の早期発見ができなかったのか、真剣に検証していただきたい。
また、東日本センター各ブロックからの申し出に真摯に応え、診療問題について抜本から改革していただきたい。
東日本センターは、常勤医師を募集している。谷垣法務大臣も「施設内の医療体制を充実させたい」などとコメントされている。しかし東日本センターにおける診療問題は、医師の常勤体制を作れば解決するものではない。現に2011年度までは常勤医師がいたが、被収容者はしばしば、その医師の診察時の態度に対して強い怒りを表していた。さらにその医師について辞めさせるよう、申し出が出されていた。なぜそのような問題がおこったのだろうか。東日本センター被収容者は、東日本センター診療室で、あるいは外部診療時に、東日本センター職員が医師に対して、「この人(被収容者)はもうすぐ帰国する人ですから」と話し、医師が丁寧な医療を施そうとするのを妨害していることを私たちに訴えてきた。この事からわかるのは、東日本センターは、被収容者が被退令発付者であることから送還までの短期間収容されているだけであり、診療についてもその期間、病気が進行しない、あるいは痛みなどの症状を抑えれば良いと考えているのであろうということである。しかし実際には、東日本センター被収容者は、難民申請者であったり退去強制令書取消訴訟等を提起していたりしており、仮放免されない以上、長期収容される。「もうすぐ帰国する人」がいるとしても極わずかである。その長期収容される人たちの生命と健康を守ろうと思えば、医療法、医師法などに基づき「良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならない(医療法第一条の四)」。
例え募集に応じて常勤医師が採用されたとしても、平日の八時間弱の勤務であり、診療科目は内科に限られる。1人の常勤医師の体制で、ほぼ全員が病気、少なくとも拘禁反応を抱える250名規模の被収容者に「良質かつ適切な医療」を施せるわけがない。
問題なのは東日本センターが、被収容者が長期にわたって収容されている事実、また難民手続きや係争中であることから仮放免となって日本での治療が続く者であるという事実を認めることであり、また、これに合致する診療を行うための予算と人員を手当てし、「良質かつ適切な医療」を施せるようにすることである。これについて東日本センターの診療問題の抜本的課題として申し入れる。
また具体的対処として以下、申し入れる。
1.急患者が出た際、医師と連絡が取れず判断、指示が仰げない場合、入管の判断で救急車を呼ぶように方針を統一すること。
2.職員へ人権教育、管理責任義務についての教育を施し、適切な対応ができるようにすること。
3.高血圧症、糖尿病、心臓疾患等の患者を把握し、その患者については仮放免すること。

二、  長期収容者、再収容者、重病・慢性疾患患者の仮放免
 「高血圧症、糖尿病、心臓疾患の患者」の仮放免については上記の通りであるが、疾病の程度に限らず、退令執行から6ヶ月を越える長期収容者、また逃亡などの仮放免の取消(出入国管理及び難民認定法第五十五条)事由に該当しないにもかかわらず再収容された者について人道上の配慮から直ちに仮放免されることを申し入れる。
 東日本センターにおいては、収容が長期化し、また再収容者が次々と移収されてくるなか、2010年には自殺者が相次ぎ、大規模なハンガーストライキも発生した。そうしたなか、同年7月30日に法務省入国管理局から「退去強制令書により収容する者の仮放免に関する検証等について」が報道発表され、東日本センターでも「収容長期化をできるだけ回避するよう取り組む」ことがなされていた。しかし、翌年、東日本大震災があり、退令に服して帰国する者が東日本センターに移収されてこなくなると、当時400名規模であった収容人員を維持するためか、2011年度には再び収容が長期化していった。
 これまで私たちからも繰り返し申入れてきたし、各界でも問題視されるように長期収容は明らかに人権侵害である。さらに、法令を順守し、仮放免の条件(出入国管理及び難民認定法第五十四条2項)を守り、出頭義務を果たしているにも関わらず、再収容が行われることには私たちは反対である。この再収容された者が東日本センターに移収されている。退令収容6ヶ月を越える長期収容となっている者、また再収容されている者について直ちに仮放免されることを申し入れる。
 ただし被収容者の中には、仮放免するのではなく東日本センターの責任で治療する事を求める者もいる。長期収容により羅病し、また病状が進行し、仮放免になっても治療を受ける費用を用意できない者が東日本センターの責任で治療を求めるのはもっともな要求である。こうした者について職権仮放免で放り出すようなことがあってはならない。本人の意思に基づいて治療する事、あるいはHさんのように在留特別許可を付与して社会保障を受けられるようにすることを申し入れる。

三、収容期間の規定について
 仮放免取扱要領は第9条<仮放免の許否>において「(4)被収容者の収容期間」を定めている。この「被収容者の収容期間」について、東日本センターは以前は、退令収容期間について地方局、地方支局からの通算で算出していた。しかし2012年度の途中から、東日本センターでの収容期間に置き換えた。東京入管、同横浜支局においては、退令発付後もしばらくは東日本センターに移収されず、それぞれの収容場での退令収容が執行される。また収容場での退令収容の期間は人によってさまざまであり、6ヶ月以上経ってから東日本センターに移収される者もいる。収容場での退令収容と東日本センターなどの入国者収容所での退令収容にとりわけて区分すべき法的根拠も実態の違いもない。収容場での退令収容を「被収容者の収容期間」に加えないのは不当である。これも2011年度からの収容人員の確保と、それによる収容長期化を覆い隠すためとしか私たちには理解できないが、このような姑息な変更は直ちに止めていただきたい。

四、面会の以前の状況への復元
 一昨年11月から東日本センターでは、一度に面会できる被収容者人数の制限、支援者の1日当たりの面会回数の制限(家族の面会を優先することを理由として支援者の面会を後回しにすることによって、結果的に1日当たりの面会回数が減少した)などを行ってきた。それまでも2010年9月から寮・ブロックをまたいでの同時面会ができなくなるなど、面会活動への制約が課されてきた。被収容者が家族と面会することを重視するのは人道上の配慮として当然の事である。だがそれならば、第二面会室の使用条件を緩和するなど、取るべき措置はいくらでもある。一方、被収容者には日本に家族がいない者、支援者との面会を求める者が多数いる。支援者は、「なぜ面会に来てくれないのか」との被収容者の切実な訴えの電話に常に悩まされている。面会室の面積からして、一昨年10月まで認められていた5名を越える人数を求めることは不可能だと思われる。少なくとも一昨年10月までの状態に直ちに戻していただきたい。また、通訳、同国人同士の交流という面から、寮・ブロックをまたいでの面会は重要である。2010年8月までの状態に戻していただきたい。ただし、2010年8月段階では、仮放免者が面会する際は1名とだけしか面会できなかった。これが現在、解除されている点は、被収容者への人道配慮上有益である。仮放免者の面会については引き続き、日本人や在留資格を有する者と同様にしていただきたい。

          以 上

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