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関東仮放免者の会「宣言」/賛助会員募集とカンパのおねがい

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Saturday, July 12, 2014

再収容の中止、一時旅行許可の運用の改善などを東京入管に申し入れ(6.19)

  6月19日に、東京入管にたいし、関東仮放免者の会として申し入れをおこないました。申し入れは、仮放免者当事者をはじめとする約50人でおこないました。


  申し入れた内容は、大きくわけて3点あります。

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  ひとつは、東京入管がさいきん頻繁におこなっている再収容をやめること、再収容された者をすみやかに仮放免することを要求しました。

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  2点目として、「一時旅行許可」の運用について、改善をもとめました。
仮放免者は、入管に届け出た住所のある都道府県から出ることを原則としてみとめられておらず、必要があってそこから出る場合は、入管局から「一時旅行許可」をもらわなければならないことになっています。

  ところが、今年度がはじまった4月1日以来、東京入管は、この「一時旅行許可」をきわめてきびしく運用しはじめたため、許可申請の窓口になっている違反審査部門の部屋は、毎朝、仮放免者たちによる不満の声と抗議のために、騒然となっています。仮放免者が不満と抗議の声をあげているのは、じっさいその生活におおきな支障がでているからです。

  仮放免者もこの地に住み生活する住民である以上、通院のため、宗教行事のため、あるいは家族や友人・知人と会うためなどに、都境・県境をこえなければならない必要が多々あるのは当然です。しかし、東京入管は4月より、「一時旅行許可」の運用をひじょうにきびしくし、申請にあたって、仮放免者が会いにいこうとする相手の身分証のコピーを提出するようにもとめたり、他県に行く日にちと場所を特定し、その疎明資料を出すようにもとめたりと、仮放免者の移動にたいし、常軌を逸した制限をくわえています。ある仮放免者家族(夫妻と小学校1年生と幼稚園児の4人家族)は、子連れで遊園地に行くために一時旅行許可を申請しようとしたら、『遊びに行くのはダメ』と入管職員から言われた、というような例もあります。

  こうしたきびしい運用について、入管側は、「仮放免取扱要領」にさだめられた手続きにのっとった正当なものだと説明しますが、その「仮放免取扱要領」がつくられたのは2001年のことであって、10年以上たった現在とは状況がまったくちがいます。このブログでもくりかえし述べてきたとおり、近年、仮放免者数は増大し、3,000人以上いると推定されるうえ、その仮放免期間、また退去強制令書が発付されてからの期間はめだって長期化しております。なかには、仮放免期間が10年をこえるという人もいるくらいです。




  現在、仮放免制度は、実態として、病気治療などのため送還が可能になるまでのあいだ「仮」に収容を解くという「一時的」な措置として運用されているとはいいがたいものです。帰国しようにもできない人に退去強制令書を濫発したために、入管のいうところの「帰国忌避者」の数が送還不可能な規模にふくれあがり、そうした人たちを収容しつづけるにも限度があるため、仮放免者数も増大し、また仮放免期間も長期化している、というのが現在の状況です。つまり、もはや仮放免制度は送還までの「一時的」な措置として運用されてるのはいいがたい実態があるし、そのような措置として運用することが現実的に不可能な状況に現状はあるわけです。

  このような現状においての、上記のようなほとんど「いやがらせ目的」としか言いようのない移動の制限は、仮放免者の生活や難民性立証作業を妨害する権利侵害としてみすごすことができないのはもとより、行動面・精神面での圧迫をくわえることで仮放免者が在留をあきらめて帰国するよううながすねらいがあってやっているのではないかと疑わずにはいられません。

  入管職員のなかには、外国人、とりわけ被収容者や仮放免者にたいして、きわめて乱暴・横柄な対応をする者が一部おります。仮放免期間の更新や一時旅行許可を申請するために来庁する仮放免者にたいし、威圧的な言動をおこなうことで、仮放免者の在留の意思をくじこうとしているのでしょう。申入書では、当会のスタッフに対して「お前」よばわりするなどの暴言をはいた職員がいたことを指摘しましたが、支援者にたいしてすらこうなのですから、この職員は、より立場のよわい仮放免者にたいしても、同様の、あるいはもっとひどい乱暴・横柄な対応をしているのでしょう。年度がかわってから東京入管が一時旅行許可を非常にきびしく運用しはじめたのは、仮放免者の帰国をうながすためのいやがらせ行為として入管が組織的におこなっているもののようにもみえます。それは、一部の職員の威圧的なふるまいについても、入管がこれを組織として追認、ないし推奨しているものなのではないか、との疑念をますますいだかせるものです。

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  東京入管に申し入れた3点目は、被収容者の「移収」にかんしてです。東京入管の被収容者は、退去強制令書がだされてから、茨城県の東日本入国管理センターに移収されるのが通常です。ところが、同センターは、3月末に被収容者2名があいついで病死するという事故がありました。




  その後3か月たったにもかかわらず、依然、診療問題は改善しておりません。東日本入管センターの医療体制の劣悪さは、東京入管とくらべてすら最低・最悪というべきもので、同センターへの移収は、被収容者の健康と生命を深刻な危険にさらすものといわざるをえません。

  このため、当会としては、東京入管からの移収、とりわけ東日本入管センターへの移収をおこなわないよう、申し入れました。




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申 入 書 
2014年6月19日 
法務大臣  殿 法務省入国管理局長  殿
東京入国管理局長  殿
東京入国管理局主任審査官  殿
 当会では、東京入国管理局(以下、「東京入管」という。)で最近頻繁に行われてきている一部の仮放免者に対する再収容、さらには今年4月1日より行われている仮放免者の一時旅行許可の厳格化等の諸問題に関する東京入管の対応に対し、強く抗議し以下申し入れを行う。

(1)再収容について 
  東京入管において、一部の仮放免者、特に永住者の配偶者等や日本人の配偶者等を中心に再収容が頻繁に見られる。当会がこれまでにも繰り返し申し入れてきたことではあるが、難民不認定異議申立棄却や行政訴訟での敗訴確定を契機とする退令仮放免者への再収容、また、行政訴訟での敗訴確定後、事情の変化等により再審情願を申し立てている者等については、当人の帰国出来ない事情を十分に考慮した上、再収容を行わないよう強く申し入れる。難民申請者や日本に家族がいる者、本邦に長期に渡り滞在し生活基盤を築いてきた者等の仮放免者は、それぞれどうしても帰国出来ない事情を抱えているがゆえに長期にわたる苛酷な収容生活、仮放免中の無権利状態に等しい生活にもかかわらず在留資格取得を目指して本邦での在留を継続している。このような仮放免者に対する収容、とりわけ再収容は当人、及び家族に人生を絶望させ、自殺未遂や疾病、或いは自殺といった最悪の事態に帰結する可能性のある重大な人権侵害である。再収容を行うにあたっては、細心の上にも細心の注意が払われるべきであり、入管法第五十五条違反、犯罪行為等の新たな退去強制事由によるもの以外の再収容は行わないでいただきたい。 
  当会会員のA(フィリピン、男性*申入書原文では実名)は再審情願中であり、2013年8月17日、千葉B病院(*申入書原文では実名)にて医師の診察を受け、胆嚢結石症、急性胆嚢炎と診断され、腹腔鏡下胆嚢摘出手術を行っており、2014年2月20日には、埼玉県所在のC病院(*申入書原文では実名)にて医師の診察を受け、腰椎間板ヘルニア、右下肢静脈瘤と診断され、右下肢静脈瘤は手術が望ましいとされ、医師の継続的治療を必要としている状態でもあった。今回の再収容は、彼の心身に回復困難な打撃を与える可能性がある。また同じく当会会員のD(ネパール、男性*申入書原文では実名)は難民申請者であったが、異議棄却をつげられ即日収容されている。当会ではこうした再収容に対し、強く反対、抗議すると共に彼らの速やかな仮放免を求める。

 (2)一時旅行許可について
  2014年4月1日から東京入管では、仮放免者の一時旅行許可について極めて厳しい運用がなされ、仮放免者は友人や、家族と会う事が困難になるという状況も生じてきている。こうした状況に対し仮放免者及びその家族、友人、支援者達から激しい抗議の声が上がり、連日違反審査部門で職員との間に激しいやり取りがかわされ、現場は混乱状態にある。東京入管に対しては、上記の運用を運用変化以前の状態に戻すように申し入れる。 
  東京入管では、今回の運用の変化を仮放免取扱要領に沿ったものと当会には説明している。しかし、これらの説明は仮放免者達に十分になされておらず、「ボスが変わりました。なのでやり方が変わります。」などとし、簡単な説明用紙を配布する程度の事しかしていない。仮放免者及びその家族等にとってみれば従来の運用からの現在の変化が、生活上著しい制約を受けるものになるにもかかわらず、それがどのような法にもとづき行われるものなのか全く理解できず不満を募らせている。これが激しい抗議へと結びつき現場の混乱に拍車をかけている。取扱要領は厳格に適用しようとすると人道上問題があるような著しい制約を仮放免者にかける事となり、膨大な一時旅行許可申請に対応する職員の負担も増大する。こうした事情があるからこそ、これまでのような運用がなされてきたのであり、そこには高度な行政上の判断があったと当会でも理解している。こうした事からも一時旅行許可に関しては、これまでの運用にもどしていただきたい。 
  例えば退令発付を受けているといえ、難民申請者は自国に帰国できず、自らの難民性立証のためには弁護士のみならず支援団体等とも十分に相談しなければならない。支援団体とは難民性立証のためにとどまらず、食糧支援等の生活支援を含む多岐にわたる係りがあり、これらは現在の東京入管の運用のように日にちを特定して一時旅行許可をとるという事にそぐわない。また難民認定の審査は長期間を有するものであり、仮放免中就労を禁止されている現状からも支援団体のみならず友人、知人等に頻繁に会い交流し支援を受ける事も重要となる。現在の一時旅行許可の運用はこうした仮放免者の難民性の立証の妨げとなっている。婚姻を在留理由とするものに関しては、退令取り消し訴訟中、難民申請中、再審情願中のいずれにせよ両者の絆を深めるためデートしたりする必要がある。これらに関してもその性質上、日にちを特定することや出かける場所を特定して疎明資料を出すという事は常識的に考えても全くそぐわない。現在の運用は仮放免者のみならずその家族、配偶者の行動にも制限をかけるものである。また一家で仮放免というケースでは、仮放免期間が長期化し、子供が学齢期に達するなどしている事も多々ある。子供の健全な成育のためには家族でどこかに出かける、旅行をするといった事は当然必要だが、現在の運用では旅行は事実上認めないものとなっているため、こうした仮放免の子供達の健全な成育の阻害要因となってしまっている。こうした一家で仮放免という場合で親が日本語能力を十分有しない等の事情を抱えていた場合は疎明資料を十分に用意できない事もある。また別れた配偶者との間の子供に会うといったケースに関しては、それが仮放免者のみならず子供にとっても必要である場合があるが、別れた配偶者の協力が得られない十分得られない場合等もあり、日にちを特定する事や疎明資料を提出する事が困難な場合もある。現在の運用はこうしたケースの子供の健全な成育を阻害する要因となる可能性がある。また現在の運用では友人、知人と会う等の場合、当該の者の身分証のコピーの提示等を求めているが、こうした事は相手側のプライバシーの問題もあり、あまりに乱暴である。 
  現在は交通手段の発達から30分も電車に乗れば県を簡単にまたいでしまう。また仮放免期間は長期化し10年に及ぶ者もおり、仮放免者数も増大している。(要領がはじめて施行された平成13年当時にはこうした状況は想定外にあった。)こうした現状の中で現在の運用のように仮放免取扱要領をあまりに厳格に適用しようとすると上記のような人道上極めて問題があるケースが多々出てきてしまう。現在東京入管では、仮放免者及びその家族らと入管職員との間で一時旅行許可に関する激しいやり取りが連日あり、前述したような職員の説明不足等の理由もあり、現場の雰囲気はかつてなかったほどに険悪なものとなっている。5月9日には違反審査部門の職員の幹部らしきEという職員(*申入書原文では実名)が当会の者に一時旅行許可の件で対応した際、自分の身分を問われても明らかにしないばかりか「お前は関係ない。(一時旅行許可の件は)お前なんかに話す必要はない。」等と何度も繰り返し発言した。国家公務員である入管職員が支援団体の市民を相手にこのような発言をすることがあってはならない。東京入管にはこのような職員に対し、教育の徹底を求める。このような職員の言動はあってはならないが、こうした者がでてくるほど現場はかつてないほど殺伐とした雰囲気になっていて、対応におわれた職員が疲弊しているという現状もあろうかとも思う。このまま現状の運用が続けば無用のトラブル、事件等も起こりえる。これらを未然に防ぐという観点や前述してきたような仮放免者に対する人道配慮、職員の負担等を考慮の上、一時旅行許可に関しては、これまでの運用にもどしていただきたい。

(3)被収容者を入国者収容所東日本入国管理センターに移収しないこと 
  本年三月末、東日本センターでは相次ぐ死亡事件が発生した。しかし東日本センターは、自らの対応に問題はないと繰り返すだけで、現在に至るも被収容者への診療問題は何ら改善されていない。重篤な被収容者対しても適切な診察をおこなわず、誰かが意識を失って倒れ、同じブロックの被収容者たちが受診を強く要請して初めて外部受診される状況が続いている。いつ三人目の犠牲者が出るかわからない中で被収容者も支援者も不安な一日一日を過ごしている状況である。私たちは本年4月3日、法務大臣、法務省入国管理局長、東日本センター所長に、東日本センターの閉鎖などを申入れたところである。少なくとも東日本センターでの診療問題が改善されていない現状において、東京入管からの被収容者の東日本センター移収を行わないことを申し入れる。被収容者の生命と健康に責任を負わない東日本センターに移収されれば、その被収容者の生命と健康は危機におかれるからである。また西日本センター、大村センターへの移収は、被収容者の家族・友人と切り離すことになり、また東京入管での難民手続き、東京地裁など関東での訴訟に困難を招くので、これもおこなわないでいただきたい。


以  上 
申入れ団体    仮放免者の会(関東)



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