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Wednesday, February 28, 2018

【拡散希望・取材要請】大村入管センターに収容された80名が連名で要望書提出(収容長期化への抗議と処遇改善をもとめて)






 大村入国管理センター(長崎県大村市)の被収容者たちが、同センターに対し連名の「要望書」を提出しました(被収容者の国籍は、ベトナム、フィリピン、イラン、スリランカ、中国、ミャンマー、インドネシア、ブラジル、ペルー、ガーナなど)。収容の長期化に抗議するとともに、医療をはじめとした被収容者に対する処遇の改善を求めたものです。

 大村入管センターには現在100名超の外国人が収容されているとみられます。大村センターでは、近年、東京・名古屋・大阪の地方入管局から移送されて収容されるケースが増えていることにくわえ、昨年の春ごろから仮放免許可がほとんど出なくなっていることで、収容が長期化する傾向にあります。(全国の入管収容施設で収容が長期化していることやその背景・要因については、東京入管被収容者ハンストの背景について - 仮放免者の会(PRAJ)を参照してください)

 収容の長期化について、「要望書」では「収容者数120人中収容期間が1年を超えている者は大半を占めており、2年から3年の者は40人以上もいるという異常事態」であると述べています。ひと口に「2年から3年」と述べられていますが、入管での収容はきわめて過酷なものです。収容期間の上限の定められていない無期限収容であることのストレス、強制送還されるかもしれないという恐怖と不安。こうした極度の精神的な負荷のかかった状態にあって、ほとんどの人は収容されて遅くても半年もすれば拘禁症状を発症しはじめます。このような入管収容施設にあって2年以上の収容が常態化しているのは、まさに「異常事態」というべきなのです。

 医療の問題も深刻です。「要望書」でもふれられているミャンマー人被収容者は、右目の痛みを訴えたものの、2か月近くも専門医による診療を受けられずに放置され、右目はほとんど見えなくなったといいます。

 大村の収容所から当会に連絡してきた被収容者は、「どうか私たちの声を外のみなさんにとどけてください」との手紙をそえて、以下に紹介する「要望書」を郵送してきました。この記事をご覧になったみなさまには、大村入管センターに収容されている人たちの声を拡散するのにご協力ください。

 また、報道関係者、とりわけ長崎・九州のメディアの方には、大村入管センターに収容された人たちの人権状況について、ぜひとも取材していただくようお願いします。ご連絡いただければ、情報提供いたします。収容されている方を紹介することも、場合によっては可能かと思います。

連絡先junkie_slip999@yahoo.co.jp

 入管施設に収容されている人びとは、「不法滞在者」という言葉でくくられることもしばしばです。しかし、全国で1,300人をこえる外国人が強制送還の対象として収容所に収容されているという異常な現状は、日本の難民受け入れ政策およびバブル期以降現在にいたる外国人労働者政策の不備やゆがみの反映でもあります。送還対象として収容されている人びとの人権状況に関心をもっていただきたいと思います。

仮放免者の会(関東)


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【1月提出の要望書】

大村市の入国管理局の さい のりよし様
 今回は入管で大村市に収容されている みんなからのお願いをこの手紙で書いています。
 1つは長い間の滞在の事です。もう1つは収容施設の中での私たちの扱われ方です。
 滞在の期間ですが、保証人、住む所、必要な書類を提出しても、仮放免が拒否され、理由もいっさいありません。健康上の問題がある人だけ許可がでます。
 現在ここにはいろんな国の人が約100人ほど収容されています。1人1人違った問題をかかえています。みんな国を出ても住む所がなく、経済面も苦しく、でも大村市の入国管理局はそれに対して、何もしてくれません。他の市の入国管理は大村市と違って仮放免の許可をよくされています。
 あと食事に対しては、もうちょっと気をつかってくれたらと思います。何度も虫が入っている事がありました。あと健康診断についての事です。もっと特別な医師で責任のある方に診断してもらいたいんです。今の健康診断はぜんぜんよくありません。薬も何回も否定されたり、今[ま]で他の医者からの医療処方に書いて、のんでいた薬をキャンセルされております。それぞれの病気によって専門の病院での治療、詳細な健康診断ができなく、病気が悪化してしまって、もう治る事もできない事があります。
 最近フィリピン人の方は結核症でみやま[ミャンマー]の方は目がわるく、2人とも、治療がおそくて、発見がおくれて、病気はすでに悪化していました。そのあと、フィリピンの方は仮放免が許可出て、みやま[ミャンマー]の方は手術をするけれど、治るのは分からないようです。他の人も手術や治療が必要な人がいます。それができなく痛み止めの薬をのんでいる人がいます。こんなようで病気になる人、病気が悪化する人を見て、自分がいつか病気になったらと思い、治療も診察もなくと思うと、みんな、大変心配と不安でいっぱいです。
 毎日、土曜日と休日をのぞいて、みんな2時間30分しまった庭のような所にいる事ができます。私たちがほとんど時間を過ごす場所はとても小さく窓もなく、空気の入れかわりもできなく、外も見れなく、太陽の明かりもなく、体も非常に悪くなります。中での電気も弱く、目に負担がかかってしまいます。ここの場所では人を長く迎える事もできなく、そいれと体にも影響をあたえます。心身ともに疲労です。
 2020年にオリンピックを開催される日本が、ここでの外国人への扱いにとてもみんな失望しています。
 あらためて、本当に心から私たちの状況を見直して下さい。よろしくお願いします。私達は日本人ではないけど、みんな同じ人間です。
 よろしくお願いします。

[被収容者57名の署名――省略]


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【2月1日提出の要望書】

平成30年2月1日
入国者収容所大村入国管理センター 所長殿
全ブロックの被収容者

要  望  書
 現在私達は貴センターにおいて長期収容生活が余儀なくされています。収容者数120人中収容期間が1年を超えている者は大半を占めており、2年から3年の者は40人以上もいるという異常事態になっています。私達の中には高血圧症、ヘルニア、バセドウ病や長期収容により精神的な損傷いわゆる拘禁症状を患い苦しい収容生活を強いられている者は少なくありません。病気があり、専門的な治療が必要とされているのにもかかわらず医療放置、そして仮放免を一切許可せず見て見ぬふりをしているのは貴センターの姿勢ではありませんか。私達はおのおのの事情が異なり国籍や話す言葉も様々です。しかし、ここから出たい、そして仮放免申請が不許可と決定されたのであれば、その理由が知りたい。これらは私達の共通するところです。

 法務省入国管理局は毎年世間に対してこのような声明を出しています。
「収容中の被収容者については仮放免の請求の有無にかかわらず入国者収容所長、又は主任審査官が一定期間ごとにその仮放免の必要性や相当性を検証、検討の上その結果を踏まえ被収容者の個々の事情に応じて仮放免を弾力的に活用し収容の長期化をできるだけ回避するよう取り組んでいる。」
 しかし、現下において貴センターの運用方針はこれとは裏腹に極めて非人道的なやり方を行っており、私達は納得できません。私達は犯罪者ではないのに、日々私達の生活が貴センターによって監獄化されいつまでも人生の大切な時間を奪われなければなりませんでしょうか。私達はこれ以上我慢することは出来ません。そこで仮放免について私達被収容者は所長又は主任審査官と話し合いがしたいと考えています。どうか話し合いの場を設けて頂き、私達が納得できるように説明してください。何卒宜しくお願い致します。

 お忙しいとは存じますが、この要望書を回答後2週間以内に返事をして下さい。
 宜しくお願い致します。
以  上
[被収容者80名の署名――省略]


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Monday, February 19, 2018

長期収容・再収容などについて抗議・申入れ(東京入管に対し)

 2月16日(金)、東京入国管理局にて、申し入れと被収容者への激励行動をおこないました。

 仮放免者と支援者20名で東京入管に13時に集合し、拡声器もつかいながら「長期収容やめろ」「再収容やめろ」「友だち返せ」「家族を返せ」「病人を医者にみせろ」「チャーター機送還やめろ」などと声をあげました。

 被収容者への激励と入管への抗議の声をあげた後には、総務課および違反審査部門仮放免係に行き、申入れをおこないました。申入れた内容は、おもに、長期収容・再収容をやめること、被収容者への医療放置をやめることを求めるとともに、2月8日のチャーター機を使ってのベトナム人集団送還に対する抗議などです。

 以下の申入書を提出してきました。


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申 入 書
2018年2月16日
法務大臣 殿
法務省入国管理局長 殿
東京入国管理局長 殿
東京入管主任審査官 殿
仮放免者の会(関東)
BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)

一、長期収容は人権侵害であり、収容長期化の回避を求める
 長期収容は、被収容者の自殺、病死などいくつもの悲劇を生んできました。死に至らないまでも、心身を衰弱したのちにやっと仮放免され、仮放免・放免後に死亡したり、重病に苦しみ続ける人たちもいます。被収容者は入管法第二十四条に該当する人たちであるのは確かですが、行政法に違反したという罪に対して、長期収容はあまりに過酷な罰です。狭い場所に何人もが閉じ込められれば、誰しも不眠・食欲不振・めまいなどの拘禁反応を発症します。持病は悪化し、新たな病気も起こします。入管収容施設での生活が6ヶ月もすぎると、誰しも少なくとも拘禁反応を発症することは貴職らもご存じの通りです。こうした長期収容による弊害を回避するため、2010年7月には仮放免の弾力的運用についての通達が出されましたが、すでに2015年9月にはその通達が撤回され、収容期間の長期化が顕著です。過酷な収容生活に置かれても、難民であったり日本に配偶者がいたりなど、帰国することのできない事情を抱えた人たちはどんな長期の収容にも耐えざるを得ません。いたずらに収容期間を長期化させて被収容者を苦しめるのではなく、再び仮放免の弾力的運用をされることを求めます。

二、再収容の中止と再収容された者への即時仮放免を求める
 東京局では、2016年1月から、仮放免者への再収容が激増しました。難民手続きの終了(異議棄却あるいは審査請求棄却の通知)、指定住居・就労などの仮放免条件違反を契機として再収容が行われ、さらに退令取消訴訟などの敗訴確定も再収容の契機となっています。就労にしても、生きていくために必要な事であり、就労が再収容の契機となるのでは生存権の侵害です。また、仮放免者が仮放免期間延長申請のために出頭したタイミングで再収容はおこなわれており、再収容された人たちのほとんどは、次の延長出頭では再収容されそうだと予感しながら出頭しています。一方、貴職らも認めているように、逃亡する仮放免者も激増しました。再びの過酷な収容生活を考えると、逃亡したくなる気持ちもわかります。それでも、日本での在留を求めるしかなく、逃亡することのできない仮放免者は、再収容を覚悟して出頭します。そして再収容された人たちの大半は、再び三度の長期収容に耐えて、仮放免されていきます。入管法第五十五条に規定された「逃亡」や、刑事事件を犯したなどのケースならともかく、真面目に貴職らからの呼出しに応じ、出頭してきている人を再収容することは、またさらなる長期収容に置くことは人権侵害以外の何物でもなく、収容権の濫用です。最近の新聞報道では、再収容は2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた治安対策だと貴職らは主張されているようですが、とんでもない話です。再収容を予感しながらも在留資格を求めて覚悟して出頭してくる仮放免者が、なぜ「犯罪の温床」などとみなされるのでしょうか。再収容を中止し、再収容された人たちは即時に仮放免にしてください。

三、被収容者への医療放置をやめ、診療を求める者は直ちに診療させることを求める
 2013年から、国費による強制送還(帰国忌避者への力ずくの送還)が再開され、同年より、チャーター機による帰国忌避者の集団送還も開始されました。こうした退令執行の厳格化は、同時に入管収容施設での死亡事件も連続させています。2013年の東京局でのミャンマーのロヒンギャ難民(死亡は搬送先の病院)、翌14年の東日本入国管理センターでのイラン人、カメルーン人連続死亡事件、同年の東京局でのスリランカ人、2017年には東日本センターでのベトナム人死亡と続きました。この過程では、仮放免・放免直後の死亡もありました。被収容者の生命や健康については、収容主体である貴職らが責任を負わなければなりません。しかし実際には、上記の亡くなった5人のなかでも、カメルーン人、スリランカ人、ベトナム人については明らかな医療放置が見られます。本人が体の痛み、異常を訴えているにも関わらず、医者に受診させず、はなはだしきは職員が仮病であると勝手に医療判断していました。現在の東京局の被収容者から面会で聞いても、診療を求めて申出書を要求してもなかなか渡してもらえない、東京局診療室の医師は自分たちの病状の訴えを聞いてくれない、専門医に外部受診して診断がされても「お金がかかるから」と治療してもらえないなどの訴えを聞きます。このようなひどい状況に置かれ、被収容者は病状を悪化させていきます。いつまた死亡者が出ても不思議ではないような状況が続いています。医療放置は明白な人権侵害です。直ちに改め、病人を受診させ、治療することを申し入れます。

四、チャーター機による集団送還の中止を求める
 帰国忌避者に対する個別の送還執行においても、同様の人権侵害は見られるが、特にチャーター機送還においては、多人数を集めるためか、あまりにひどいケースが多く見られます。今月8日にも、ベトナム人47人がチャーター機で送還されました。その中には、日本人と結婚している人も含まれています。急に配偶者と引き離され、本人もそうでしょうが残された家族は悲嘆にくれています。また今回も、難民申請者に対して、難民手続きの終了(審査請求棄却)の通知、あわせて難民不認定処分取消訴訟の教示をしておきながら、そのまま送還された人がいます。難民申請者の裁判を受ける権利を侵害する送還については、すでに2013年のスリランカ人チャーター機送還の犠牲となった元難民申請者による国家賠償請求訴訟も提起されているところです。これらの家族分離、裁判を受ける権利の侵害は私たちとしては許せません。帰国忌避者への送還、とりわけてチャーター機による集団送還に反対します。また、今回のチャーター機にも帰国希望者が乗せられていました。もともと帰国希望だが航空券代金を用意できなかった人が何人もいたことを私たちは承知しています。こうした帰国希望者も含めて送還人数を膨らませて、本来、「帰国忌避者の専属輸送による送還経費」として予算化されたチャーター機送還に固執するのは、税金の無駄遣いとの非難にもつながります。
以 上

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