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Wednesday, August 26, 2015

東京入管横浜支局職員が被収容者の私物を損壊/被収容者による処遇改善の要求


  8月12日(水曜日)、東京入国管理局横浜支局にて申入れをおこないました。

  横浜入管では、7月上旬に、職員(入国警備官)が被収容者Aさんの私物を故意に損壊する事件がありました。また、8月5日には、被収容者から処遇の改善を要求する連名の要求書が出ています。

  これらを受け、仮放免者の会としても横浜支局にて、処遇の改善(開放処遇の時間延長、被収容者間の情報交換に対する不当な制限をやめること、医療・食事の改善)と、Aさんへの謝罪をもとめる申し入れをおこないました(申入書は、この記事の最後に掲載しています)。


◇        ◆        ◇        ◆        ◇        ◆        ◇        ◆


  被収容者による要求書は、横浜支局のBブロックに収容されているうちのほぼ全員にあたる18名の連名で提出されています。かれらは、これまでも処遇について各人それぞれに意見をのべたり改善をもとめてきたりしてきたものの、いっこうに聞き入れられず、検討すらされないため、集団での要求書提出にいたったとのことです。

  要求書の原文(日本語ローマ字表記)と、これを漢字かなまじり表記にしたものを、以下に掲載します。


【原文】
YOKOHAMA IMMIGRATION NI NEGAI KOTO.
2015-8-5
1. YASUMI NO HI NO FREE TIME ASA 9:30AM KARA 11:30AM MADE TO 13:30
KARA 16:30PM MADE NEGAI MASU. YASUMI NO HI ZUTO HEA NAKA DE TSUTERESU
THAMARU TO IRONA SHITO URUSAI SHIMASU. ATO MINA SHOWER SURU JIKAN
DENWA SURU JIKAN TOBACCO SU JIKAN SENTAKU MONO SURU JIKAN TSUKU
NAKUTE, TAIHEN DESU.
2. MINA JA NAKUTE NAN NI GA SHITO FRIDAY TV NO JIKAN YORO 11:00PM MADE
NEGAI-O-SHI MASU NO DE NANNKA MOSHIROI BANGMI GA ARU NO DE DEGIRU NARA
FRIDAY TV NO JIKAN YORO 11:00PM MADE NEGAI DESU.
3. ATO IRONA SHITO GOHAN NO KOTO OSHIKU NAI TE YUTE MASU NO DE, SONO
KOTO DE MO SOKOSHI KHANGAETE MURAITAI DESU. YOROSHIKU NEGAI SHI MASU.


【漢字かなまじり表記】
横浜イミグレーション〔入管〕に願いこと
2015年8月5日
1. 休みの日のフリータイム、朝9:30AMから11:30AMまでと、13:30から16:30PMまで願います。休みの日、ずっと部屋のなかでストレスたまると、色んな人うるさくします〔補足:叫んだり、壁を叩いたりしてしまうこと〕。あと、みなシャワーする時間、電話する時間、タバコすう時間、洗濯物する時間少なくて、大変です。
2. みなじゃなくて、何人かの人、フライデー〔金曜日〕TVの時間、夜11:00PMまで願いをしますので、なんか面白い番組があるので、できるなら、フライデーTVの時間、夜11:00PMまで願いです。
3. あと、色んな人、ごはんのこと、おいしくない、て言ってますので、そのことでも少し考えてもらいたいです。よろしく願いします。


  要求の内容は、きわめてもっともなことがらです。

  入管の収容場は、本来、収容されたひとに苦痛をあたえるための施設ではありません。懲罰のための施設でもありません。入管法にさだめられた退去強制事由にかかわる審査のための収容、あるいは、退去強制令書が発付されたもののただちに送還を執行できない場合に送還可能のときまでの収容がみとめられているにすぎません。

  したがって、長時間せまい居室にとじこめて、運動もシャワーもできない状態で被収容者にいちじるしい不自由と苦痛をあたえてよい正当な理由など入管にありません。また、金曜の夜に映画を放映しているテレビを、途中で消して最後までみられなくするという、まるでいやがせのような措置も、認められるものでありません。

  これらの処遇の問題は、人員をふくめた施設の不備と、これを不備なままに放置してきた入管の怠慢によるものです。収容場が苦痛や懲罰をあたえることを目的とした施設(拷問施設)でないというならば、ただちに改善が検討され着手されなければならないものであるはずです。食事についても同様です。被収容者当事者からの要求・クレームが現にでているのですから、横浜支局は、支局としてこれをどう改善していくつもりなのか、すぐに改善できない部分については、なぜすぐできないのかを、被収容者全体に対して回答する義務があります。横浜支局が要求書に真摯に回答することをもとめます。


◇        ◆        ◇        ◆        ◇        ◆        ◇        ◆


  さて、職員が被収容者の私物を破損した事件についてです。

  これは、Aさんが居室に貼ったチラシを、横浜支局の職員がAさんのシャワー中に無断で壁からはがし、くしゃくしゃにして持ち去ったというものです。警告もなしにです。あとで述べるように、チラシの内容が他の被収容者にとって好ましくないものであったとも考えられず、これを勝手にはがすという職員の行為に正当な理由があるとは考えられません。かりに、チラシをはがすという行為に正当性がみとめられるのだとしても、これをくしゃくしゃにして破損する行為にどんな正当性があるというのでしょうか。

  法務省入国管理局は、「出入国管理のしおり」と題されたパンフレット(リンク先PDF)を出しています。その4ページ目に、つぎのような記述があります。

正当な目的をもって来日しようとする人がスムーズに入国し安心して生活できるようにするとともに,日本での滞在を認めてはならないような外国人から日本国民の生命・安全や産業・国民生活上の利益を守ることも,また入管の仕事です。

  なにやらえらそうに「外国人から日本国民の生命・安全や産業・国民生活上の利益を守る」などと書いていますが、入管は、「日本での滞在を認めてはならない」とみなした外国人に対してであれば、監禁して虐待をくわえたり、その私物を無断で処分したりしてもよいということなのでしょうか。それも「入管の仕事」だというのでしょうか。

  私たちがこの職員による私物の破損について知ったのは、Aさん本人のうったえによってです。本来ならば、これは重大な不祥事であって、入管みずからがこの事実を公表して、再発防止につとめるのが筋でしょう。ところが、Aさんに対して、いまだに横浜支局としての謝罪すらなされていません。

  入管は、政府機関ですし、法務省下の組織なのですから、もうすこし法を尊重するという意識をもったほうがよいのではないでしょうか。

  ちなみに、横浜支局の職員がくしゃくしゃにして持ち去ったのは、Aさんに私たちが差し入れした“「仮放免者に在留資格を!」 9.9法務省デモ”の告知ビラでした。こちらデモのほうも、ご参加・ご協力のほど、よろしくお願いします。




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  最後に、仮放免者の会として提出した申入書の全文を掲載します(申入書に記載した被収容者の名前と国籍は、以下ではふせてあります)。

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申 入 書 
2015.8.12
法務大臣  殿
法務省入国管理局長  殿
東京入国管理局横浜支局長  殿
関東仮放免者の会(PRAJ)神奈川

1. フリータイムについて
  被収容者によると、横浜支局でのフリータイムは、平日は午前9:30-11:30と午後13:30-16:30ですが、土日は半分しかなく、土曜日は午前9:30-11:30のみ、日曜日は午後13:30-16:30のみです。この間の横浜支局での被収容者への聞き取りによると、フリータイムの短さ、特に土日のフリータイムが半日しかないことは、多くの被収容者に極めて大きなストレスとなっています。フリータイムについては、東京入国管理局、東日本入国管理センターでは、土日、祝日も午前午後と全日あります。被収容者たちは、他の収容施設と違ってなぜ横浜ではフリータイムが短いのか、と職員に再三問いかけていますが、これまでのところその理由は全く明らかにされていません。フリータイムの制限は、被収容者の行動の自由を著しく侵害するものです。横浜支局におけるフリータイム時間を延長すること、特に、土日のフリータイムについては、少なくとも他の収容施設と同様に、平日並みの午前・午後全日に変更することを、強く申し入れます。
2. 被収容者のブロック間情報交換の不当な制限について
  現在、横浜支局では、ブロック間で被収容者が手紙のやりとりをすることを禁じられていますが、これは通信の自由の侵害です。東京入国管理局、東日本入国管理センターでは被収容者がブロック間で自由に手紙のやりとりを行うことができます。横浜支局における、被収容者のブロック間情報交換の不当な制限をただちにやめるように申し入れます
3. 被収容者への医療の改善について
  被収容者からの聞き取りによると、現在の横浜支局での医師の定期診察は、短時間でかつ怠慢なものです。聴診器も持たず、顔を見ただけで決まりきった薬を出すだけ、といった診察では、被収容者への適切な医療が行われるとはとても思えません。被収容者への診察の改善と、病気の被収容者に対するすみやかな外部診療の許可、仮放免を行うように申し入れます。
4. 食事の改善、衛生管理の徹底について
  被収容者からは、「食事がまずい」「少ない」という多くの声が上がっています。また、髪の毛が入っていた、など、衛生管理に問題があることを疑わせる証言も聞いています。被収容者への食事の改善、衛生管理の徹底を申し入れます。
5. 被収容者の私物の職員による器物損壊について
  7月上旬、横浜Bブロックに収容中のD国籍Aさんが、チラシ(当会のデモのチラシ)を自室の壁に貼っていたところ、職員に断りなく剥がされ、くしゃくしゃにされて持ち去られるという事件が起こりました。その後チラシ自体は返却されたということですが、被収容者が掲示した物を、正当な理由なく、また事前の警告などなくいきなり剥がし、くしゃくしゃにする、というのはとんでもない行為です。剥がした職員によるAさんへの謝罪と、支局として、また入国管理局全体として、こうした人権侵害の再発を防止する取り組みを行うことを申し入れます。
以上
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【参考】

  横浜支局の職員が、おもわず壁からはがしてくしゃくしゃに丸めずにいられなかったのは、このチラシ(↓)です。


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