PRAJ (Provisional Release Association in Japan): Who We Are
in English
日本語(漢字かなまじり)
にほんご(ひらがな・カタカナ)


関東仮放免者の会「宣言」/賛助会員募集とカンパのおねがい

http://praj-praj.blogspot.jp/2013/12/blog-post.html


仮放免者の会 ホームページ

Thursday, January 29, 2015

医療問題の抜本的改革をもとめる緊急申し入れ(東日本入管センターに)

  東日本入管センターの医療問題等について、1月28日に、仮放免者の会(関東)とBOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)の連名で、申し入れをおこないました。

  同センターでは、昨年3月末に被収容者2名があいついで亡くなるという事件がありました。


  このあいついだ死亡事件を受けて、法務省は昨年11月に報道発表をおこない、カメルーン人Wさんの死亡については医療態勢の問題を認めたものの、イラン人Sさんへのセンターの対応については適切だったとの評価を発表しました。

  しかし、この連続死亡事件についての法務省による検証・教訓化が十分なものだったとは、とうてい言えません。11月20日の法務省発表のわずか2日後の22日に、東京入国管理局でスリランカ人男性が胸にはげしい痛みをうったえたものの診療を認められずに放置され、亡くなりました。

  今回の申し入れでは、東日本センターでのSさん・Wさんの死亡の経緯をあらためて問題にするとともに、診療問題の抜本的改革と、長期収容者、再収容者、重病・慢性疾患患者へのすみやかな仮放免をもとめました。

  以下、28日に提出した申入書の全文です。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
申  入  書
2015年1月28日
法務大臣  殿
法務省入国管理局長  殿
東日本入国管理センター所長  殿
仮放免者の会(関東)
BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)
一、  診療(医療)問題の抜本的改革
  昨年3月末の東日本入国管理センターでの連続死亡事件について、昨年11月20日、法務省入国管理局は記者会見をおこなった。記者会見では、イラン人男性については対応は適切だった、カメルーン人男性については医療態勢に問題があり、診療を受けていたら助かった可能性は否定できないと発表した。

  イラン人・Sさんへの対応が適切だったとの評価について、私たちは到底容認できない。33歳の若者が、官給食を喉に詰まらせて窒息死するなど通常、考えられない。Sさんは東京入管横浜支局から通算で1年2ヶ月に及ぶ長期収容であり、精神安定剤など大量の薬を服用していた。収容場、収容所における収容は拘禁的収容であり、被収容者は拘禁反応に苦しめられる。私たちは、9寮Bブロック201の同室者や彼をよく知る同ブロックの被収容者たちから、Sさんが官給食を普通に咀嚼・嚥下できず、無理して丸飲みしたり、水を口に含んで流し込むようにしていたりだったと聞いている。また、Sさんは薬を飲んだ後、ふらふらしていたとか、ろれつが回らなくなっていたとも聞いている。私たちは、Sさんは、長期収容と、劣悪な医療処遇の犠牲者であると認識している。
  カメルーン人・Wさん死亡については、法務省入管は医療態勢の問題があることを認めた。Wさんの容態悪化の経緯について、同じ9寮Aブロックの被収容者たちから聞き取りしたところ、人によって証言に違いがあったが、遅くとも亡くなる3週間前には居室に閉じこもり、明らかな衰弱が認められる状態であったと思われる。Wさん自身は、他の被収容者に自分は糖尿病であると話していた。また3月27日(木)の午前中、目が見えなくなり、歩くことができなくなったWさんの容態悪化に、同ブロックの被収容者たちは、このままではWさんが死亡すると危機感を持ち、即時の受診を求めた。昼食時間の正午になっても彼らは居室に戻らずWさんの即時の受診を求め、12時半ころに、職員が「病院に連れていく」と言ってWさんを連れ出した。法務省入管の説明によれば、Wさんは16日に脚の痛みを訴えたが、医師の診察は27日だったとの事だが、同ブロック被収容者から聞いたところでは、脚の痛みという範囲ではなく、糖尿病への治療が何もおこなわれず、また官給食も他の被収容者と同じ物が支給されており、糖尿病の進行が疑われる。少なくとも27日の午前から正午過ぎにかけて同ブロックの被収容者たちが要求したものは、脚の痛みに限定した診療ではない。
  なぜ東日本センターは、27日に至るまでWさんを受診させなかったのか、また27日以降にしてもなぜWさんの諸症状に対する総合的な診察を受けなせなかったのか。28日にはWさんは知人と面会しているが、その時は、Wさんは職員に両脇を抱えられて面会室に入って来、極度に衰弱した状態だったと聞いている。27日以降に限定して考えても、28日、29日と、一日一日、死へと向かうWさんを救急搬送していれば、30日の死亡は回避できたかもしれない。
  27日にWさんが受診していたことからもわかるように、問題は、常勤医が存在するかどうかにあるのではない。貴職らが被収容者の生命と健康に責任を持つのかどうかである。
  昨年7月24日にも私たちは申入れをおこなったが、貴職らが、被収容者の多くは長期収容となっており、日本での継続的治療が想定されるという事実を承認し、「良質かつ適切な医療」(医療法第一条の四)を施せるよう、抜本的な診療問題改革をおこなわれるよう、改めて申し入れる。

二、  長期収容者、再収容者、重病・慢性疾患患者への速やかな仮放免
  長期収容者、再収容者、重病・慢性疾患患者への仮放免は、これまでも繰り返し申入れてきた。この一年強の間に、東京入国管理局、東日本センターで四人もの死亡者を出しており、今後の医療処遇の改善を図るにしても、出せる者は早期に出所させ、まずは被収容者総数を減少させていただきたい。東日本センターにおいては、昨年9月期は、被収者総数が230人前後で推移していた。その時期にあっても、被収容者が診療申出をしてから受診するまで2週間から4週間ほどかかっていた。新たな症状が発症した場合は初診として速やかな診察がされるケースもあったが、そのような速やかな診察はまれであった。
  私たちは長期収容、再収容について人権侵害としてこれまでも反対してきたが、本日の申入れにおいては、次なる犠牲者を出さないための緊急性を持っての申入れである。昨年3月末、すなわち年度末において、なぜ連続死亡事件が発生したのか、私たちとしてはあれこれと想像してみるしかない。そこでの検証と検証結果の公表を貴職らが真摯におこなわない以上、また今年度末にも悲劇が繰り返されるのではないかと私たちは危惧せざるを得ない。
  被収容者は持病が悪化し、拘禁反応を発症しており、誰もが病人だと言っても過言ではない。現在の東日本センターの組織体制、予算の範囲において死者を出さない状況を作るためには、被収者総数=患者数を減らすしかないと考える。
  仮放免許否審査にあたっては、昨年7月24日にも申入れた通り、地方局収容場からの退令収容期間を通算で収容期間として計上して審査していただきたい。
以  上

No comments:

Post a Comment