PRAJ (Provisional Release Association in Japan): Who We Are
in English
日本語(漢字かなまじり)
にほんご(ひらがな・カタカナ)


関東仮放免者の会「宣言」/賛助会員募集とカンパのおねがい

http://praj-praj.blogspot.jp/2013/12/blog-post.html


仮放免者の会 ホームページ

Monday, August 18, 2014

家族を再収容しないで――家族会による申し入れ(東京入管)


  8月15日(金)に、仮放免者の会(PRAJ)家族会(以下、「家族会」といいます)として、東京入国管理局にて申し入れをおこないました。

  家族会は、収容中または仮放免中の家族をもつ者たちからなる集まりです。妻・夫など家族が退去強制令書発付をうけているため、家族いっしょに日本で暮らしていくことができるよう、在留資格をもとめて活動しています。

  入管は、非正規滞在者について、日本人、あるいは永住者など合法的に在留する者と婚姻した場合、在留特別許可をしばしば出しています。しかし、本国からの書類の取り寄せなどで婚姻手続きが間に合わないうちに摘発された者、婚姻手続きは整っているがオーバーステイ以外の入管法違反などがある者について、退去強制令書発付処分とする運用を現状ではとっています。

  退去強制に服するとなると、夫婦または親子が日本と他国に引き裂かれ、夫婦関係の破綻の危機にも追いやられます。夫婦として暮らしていくために、行政訴訟も起こし、長期収容にも耐え(そのかん夫婦は、片方が収容されているので別居生活を強いられる)、仮放免後も国民健康保険に入れないなどの不安定な位置に置かれながらこれに耐え続けています。

  ところが、東京入管は、昨年10月から、こうした夫婦のケースについて、つぎつぎに再収容をし始めました。昨年10月に再収容された人たちの中には、すでに再収容から10ヶ月以上の長期収容となっている人もいます。あるいは、再収容後に 体調を崩し、重篤状態となり、2回目の仮放免となった人もいます。

  昨年10月には、ビルマのロヒンギャ難民のフセインさんが再収容によるショックから亡くなりましたが、再収容によるショックは、収容された本人にとってはもちろん、配偶者にとってもたいへんに大きいものです。

  申入書にも書かれているように、東京入管は「夫婦なのだから、一度帰国して、日本人の(あるいは永住者の)配偶者として在留資格を得たうえで堂々と再入国してくるのが筋ではないか」と言います。しかし、法的には退去強制によって出国した者は再入国できるまで5年以上かかります。また、上陸特別許可という制度もありますが、これによって2年とか3年で再入国できるのは、さまざま条件をクリアできる人たちです。それが無理だからこそ、1回目の収容時の過酷な長期収容にもたえたのです。

  今回、 東京入管に出頭している仮放免者の夫婦14組(仮放免者の国籍は、中国、台湾、韓国、インドネシア、バングラデシュ)と、支援者、弁護士で、東京入管の審判部門および違反審査部門をおとずれ、申入れをおこないました。

  在留特別許可をあつかう審判部門には、国民健康保険に入れず医療費が大変であること(検査でもなんでも、一度病院に行くと一万円以上の診察料がかかる、など)などが訴えられ、一日も早く在特を出して、安定した生活を送られるようにしてもらいたいと配偶者から口々に訴えがありました。

  仮放免期間の延長、ないしは再収容をあつかう違反審査部門には、再収容しないでほしいという、配偶者からの切実な訴え、また本当に上陸特別許可で二年くらいで再入国できるならばその保証を出してほしい、さらに、二年で在留資格を出すなら、日本にいても出してほしいなどの訴えがありました。

  以下、このときに提出した申入書を掲載します。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
申  入  書
2014年8月15日
法務大臣  殿
法務省入国管理局長  殿
東京入国管理局長  殿
東日本入国管理センター所長  殿
仮放免者の会(PRAJ)家族会一同
  私達は、仮放免者の配偶者など、仮放免者あるいは再収容された者の家族です。私達は、たまたま非正規滞在外国人の異性と巡り合い、愛し合い、夫婦となりました。本人が、不法残留、不法入国、不法上陸などで不法滞在となってしまっていたことについては、私達、家族の側からも深くお詫び申し上げます。
  しかし、すでに夫婦・家族として生活し、本人は長期収容にも耐え、私達も面会に通いながら寂しい生活に耐えてきました。本人が仮放免されたのちも、国民健康保険に加入できないなどの制約を受け、また再収容されて引き裂かれることへの不安にさいなまれながら日々を過ごしています。
  東京入国管理局では、昨年10月から、再審情願申立中の仮放免者本人への再収容が行われています。「仮放免期間延長申請を許可する理由がなくなったから」との説明を東京局違反審査部門仮放免係から受けましたが、私たちの夫婦関係は円満に続いているのに、なぜ収容場の内外に引き裂かれなければならないのか、とても納得できるものではありません。さらに、「夫婦なのだから、一度帰国して、日本人の(あるいは永住者の、など)配偶者として在留資格を取得して堂々と再入国してくるのが筋ではないか」とも聞かされました。ここでは上陸特別許可(以下、上特)の話も聞かされました。しかし、一度帰国して在留資格を得ての再入国、また上特については、1度目の収容時にも執行面接でさんざんに聞かされてきたことです。本人はもちろん、配偶者である私達も東京局で、あるいは東日本センターで、執行部門から何度も聞かされてきました。私達ははっきりと証言できますが、以前の東京局や東日本センターの執行部門の職員が、これらの説明を怠っていたということはありません。それなのに、改めて同じことを聞かされても、私達はその説明に服することはできません。それができるならば、退去強制令書発付処分を受けた1度目の収容時に本人を帰国させていました。違反事由が不法残留のみであったり、本人の帰国後に私達配偶者が年何回も本人と会いに渡航できる条件があったり、その他、私達の親族も本人と会いに渡航するとか、地位・収入が安定しているとか、持ち家があるとか、それらの上特の諸条件を満たせないからこそ、期限の知れない収容生活、引き裂かれた生活に夫婦共に耐え、本人の仮放免後も夫婦で力を合わせて支え合ってきたのです。
  昨年10月以降、ご本人が再収容されたご夫婦の何組かは、上特を期待してご本人が帰国する道を選ばれました。帰国するにせよ、再度の長期収容に耐えるにせよ、その選択の苦しみは痛いほどわかります。誰が、自らの配偶者の収容生活を望むでしょうか。すでに1回目の長期収容を経験し、長期収容による本人の苦しみを知り、そのかんの外での自分の苦しみを堪え忍んできた私達です。この方々が選択された道は、私達家族会に集う者たちとは異なりますが、他人事とは思えません。どうかご本人の帰国を選択されたご夫婦には、1日も早く上特によって夫婦生活を取り戻せるよう、お願い申し上げます。
  同時に私達は、私達の夫婦のケースではなかなか上特も認められないと認識しています。現に、昨年10月・11月と再収容された者は、一部は再度の仮放免許可をいただきましたが、その他の者は今も東京局や東日本センターで2回目の長期収容に耐えています。長いものはすでに10か月を越えました。仮放免後、御局のご指導に従い、出頭指示にも常に応じてきた者が、なぜまた長期収容を繰り返され、私達としても孤独な身に置かれるのでしょうか。私達は心底からのお願いとして、以下、申し入れます。

一、長期収容にも耐えた私達夫婦のつながりの強さにご配慮いただき、速やかに仮放免者本人への在留特別許可をいただき、安定・安心した夫婦生活を送れますよう、お願いしたします。
二、長期収容に耐えた仮放免者本人を再収容し、再び私達の夫婦に分離と孤独な生活の苦しみを与えないようにお願いいたします。
三、すでに再収容された本人たちを可及的速やかに仮放免されることをお願いいたします。
以 上