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Monday, February 13, 2012

入管収容所の被収容者からの嘆願書――重病者の収容、不衛生などの問題について

  東日本入国管理センター(茨城県牛久市)の被収容者が、先月末に収容所所長あてに連名で提出した嘆願書2通を紹介します。
  1通は、女性が収容されている2Bブロックからのもので、重病者と長期収容者の早期解放とともに、危険な衛生状況などの処遇改善を要求しております。2Bブロックでは、以下の記事で紹介した、心臓病の持病のある Kさんもいまだ解放されず、収容されたままです。

  もう1通は、男性の収容されている3Aブロックからの嘆願書です。時間帯によっては、シャワーの給湯をとめ、冷たい水しか出ない状態にするという東日本入管の仕打ちにたいし、改善をもとめたものです。この措置は、昨年3月の大震災以降とられたものですが、1年のうちもっとも冷えこむこの季節になっても続けられています。
  なお、3Aブロックの被収容者たちが、法務省のさだめる「被収容者処遇規則」を研究して、東日本入管がこの規則に違反していることを指摘していることは、まえに紹介しました。
  以下、2Bと3A、両ブロックの嘆願書の全文を公開します。記事の後半には、支援者による【補足説明】をつけております。

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【2Bブロック嘆願書】

皆からのお願い・嘆願書
2012.1.26
東日本入国管理センター所長殿へ

  私たちは東日本入国管理局・2Bブロックの被収容者たちです。私たちは皆さまでお話し合いの末、以下の要点を共同で要求する事を決めました。お願いですから、どうか、せめて改善してほしいと思います。

1.
たたみだけど、古くなったたたみを新しく取り替えていただきたいです。なぜならダニとかびがひそんでいて、肌の弱い人にとっては危機そのものです!  じんましん、アレルギーを引き起こすかもしれないので、あと夏とかは変なにおいがしますので、古いたたみをどうにか新しいのと取り替えて下さい!  修理して下さい!

2.
  窓。各自の部屋から外の景色を眺めたくなる時があり、閉じこめられては、気分やら体調すら暗く、落ち込むばかりです。これでは精神ゆううつになりやすい! どうか昼間でもいいので、窓を開けてほしいです![注*]

3.
  土・日曜にですが、下の運動場へスポーツをして、汗をかきたい人たちが希望しているので、土・日曜日は戸外での運動の許可をお願いいたします。

                     ◆
  あと、できたら、土・日・休日、面会できる事を望みます! 1ヶ月に一回・二回でもいいから、面会をしたいです! 土曜・日曜日面会をしたいです!
                     ◆


4.
  再収容者への長期間に渡る収容は、本人たちにとっては辛く、長くいればいるほど、皆、変になりそうだし、頭だっておかしくなってしまうおそれがあります! 被収容者の個々の事情については、いたずらに長期収容をしていても、何の解決にもなりません! 何かしら、社会や環境とかに貢献していけば、していける形になる事ができれば、本人を含め、周りの人たちだって喜ぶに違いないと思います。

5.
  病気で苦しむ者・昔の病気が再発してしまった長期収容者たちはとても、とても困っております。見るに耐えがたい現実です! 偽るのなんて、できません。ここの医師に相談をしたって、信じてはもらえずに、余計病状が悪くなる一方です。そういう者たちだって懸命に償いながら、日本で、外で生活をしたいと願っています! ここで収容され続けてしまうと、精神までも病んでしまいます! そうならないように、トラウマ残らないように、重ねてお願いいたします!! 半年以上の者々を外へ出してあげて下さい。


〈人権の + 人権による + 人権の為の = 外国人の人権保護法〉

【以下、11名7国籍(台湾、中国、ミャンマー、タイ、フィリピン、カメルーン、ペルー)の署名(省略)】

[注*]東日本入管センターは、被収容者に窓の開閉の自由を認めていないばかりか、窓に白いシートをはって、意図的に外の景色がみえないようにして、被収容者を精神的に虐待しております。くわしくは、以下の記事の【解説】部分を参照してください。



【3Aブロック嘆願書】

東日本入国管理センター所長殿
  私達(3-Aブロック)は シャワーの事で本当に困っていることから、今回お願いを聞いてもらいたく、手紙を出す事にしました。
  午前中運動に行く時、皆さんは色んな運動をし、大量な汗をながします。
  その汗をそのままにすると、間違いなく風をひいてしまいますので、運動後はシャワーで汗を洗いながす必要があります。
  しかし、品川[東京入国管理局]やほかの施設と違い、ここでは、午前中水しか出さない事となっています。
  理由はどうであれ、私達の健康を第一に考えて頂きたく思います。
  午前中運動の日だけ湯を出す様、お願いします。3-Aブロック全収容者からのお願いです。宜しくお願いします。

平成24年1月25日
3-Aブロックより

【以下、36名18国籍(カナダ、バングラデシュ、フィリピン、カメルーン、中国、ガーナ、トルコ、スリランカ、タイ、ペルー、イラン、マリ、パキスタン、ナイジェリア、ベトナム、ウガンダ、インド、アメリカ)の署名(省略)】




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【補足説明】

  冒頭でも述べましたが、2Bブロック嘆願書が指摘している重病者を解放せずに収容し続けている問題は、非常に深刻です。くりかえしこのブログで紹介してきた被収容者の声からもわかるとおり、東日本入管センターの医療状況は、きわめつけにひどいものです。重病者は重病のまま放置され、あるいは専属医師によってまともに診察せずに痛み止めや精神安定剤をでたらめに処方されるだけです。

  ところで、この専属医師H氏は、病人やけが人に外部の病院での診療を受けさせる必要があるのかどうか、判断をくだす権限を与えられています。しかし、ほとんどの病人・けが人は、H医師によって、その必要がないという判断をくだされたために、外部の病院での診療を受けられずにおります。H医師は、被収容者の病状の深刻さを低くみつもりたい東日本入国管理センターに「専門家の判断」というお墨つきを与える役割をになっているわけです。「重病者をはやく解放してほしい」または「外部診療を受けさせてほしい」という私たちの申し入れにたいし、東日本入管は「専門家である医師の判断を参考に適切な対応をしている」とこたえるのがつねです。

  いうならば、Hさんは、収容所の医療ネグレクトを正当化する東日本入管センターにとっての「盾(たて)」の役目をはたしているといえるでしょう。H医師にきびしく追及されるべき責任があることはいうまでもありませんが、このような人権侵害の「盾」としてH医師を利用し、いわば「よごれ仕事」をになわせている法務省入管と東日本入管センターの責任もまぬがれられない重大なものです。入管とH医師は共犯関係にあるというべきです。

  さて、こうした医療ネグレクトにくわえ、やはり2Bブロック嘆願書が指摘する衛生問題をみても、東日本入管には、かのじょ・かれらを収容し続ける資格がないといわざるをえません。3Aブロックからは、午前中シャワーが冷水しか出ない問題について嘆願書が提出されていますが、このブロックの被収容者たちはシャワー室の不衛生さにたえかねて、掃除用具と洗剤を貸すように入管側に要求をしたそうです。入管側もこの要求を受け入れ、2月5日の日曜日の朝、被収容者たちがカビだらけのシャワー室と洗濯機まわりを掃除したそうです。

  こうしたことから、東日本入管センターが収容所を運営していく能力を欠いているということと同時に、当然のことですが、収容されているひとたちが、生活の場所を自分たち自身で管理・運営していく力があるということが、あらためて明らかになっていると思います。かれら・かのじょら自身の基本的な自治・自律の権利をうばっているということも、収容ということの問題の重要な一面であるといえるでしょう。みずからの健康のために運動するとか、不潔なところを掃除してきれいにするとか、窓の開閉によって部屋の通風や採光をじゅうぶんに確保するとか。そういったことですら、収容されたひとびとにとって、いちいち収容所側に要求し、許可をうけなければならないことにされているのです。



  東日本入管センターへの抗議・問い合わせ先は、つぎのとおりです。

東日本入国管理センター 総務課 
  • tel: 029-875-1291
  • fax: 029-830-9010
  • 〒300-1288 茨城県牛久市久野町1766-1



  以下、上に掲載した両ブロックの嘆願書の画像です(クリックすると大きくなります)。



Sunday, February 12, 2012

東日本入管センターへ家族会からの申し入れ ~バラバラにされた家族、手さえ握れない面会室~

  1月24日、被収容者の配偶者・パートナーからなる「収容者家族会」が、東日本入管センターへの申し入れをおこないました。
  申し入れは、「第二面会室使用」についてです。ご参考までに、以下の記事もどうぞ。
以下、申し入れの様子について報告と、東日本入管センターに提出した「申入書」です。


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前回、東日本入管センターに開示させた「第二面会室使用」の件で、家族たちがたちあがりました。
面会を待っている間に、配偶者の人や収容者の子供、親、兄弟と愛する家族と引き裂かれている苦しみなどを
相談していくうちに、自分たちが第二面会室を使わせてもらわなったことを相談しました。
家族たちの中には第二面会室なんてものがあること自体知らなかったという人が多くいたので、
ならば、入管の今の運用に対して抗議したい家族がほかにもいることを示すために、署名を集め始めてみました。
すると2週間で約20名のサインがいただけました。
これは家族であるならば、みんな「愛するものとガラス越しでなく面会したい」と思うのは当然で、
自然な想いだと思います。


そして去る1月24日、その集めた署名を持って、総勢8名で総務課に申し入れに行きました。
すると総務課は「大勢で来られても困る」と言い、家族の代表4名だけから申し入れを聞き入れるとし、
廊下にパーテーションをたてて作った簡易な部屋に日本人配偶者4名が通されました。
私たちはそれぞれに想いをぶつけました。


まずどうしてもおかしい、と思うのは、「子供のいない夫婦には特別面会は認められない」という面会室の運用です。
対応した総務課補佐は
『子供がいない夫婦には第二面会室の使用を認めるような人道的配慮は行わない』とはっきりと言いました。
申し入れした4人の各夫婦には子供がいません。
「それでは物理的に子供が出来ない夫婦は「夫婦」ではないのでしょうか。」
と、一人が泣きながら訴えました。
しかし総務課はその問いには答えてくれませんでした。
そして「一般面会で十分ではないですか」と、私たちを丸めこもうとし始めました。
一般面会で十分だったことなど一度もありません。
私たちのほとんどは2~3時間もかけて面会に行きますし、1週間に1回は「会える」かもしれませんが、
抱きしめあうことはできません。
私たちが愛する家族と引き離された苦しみは計りしれません。
ある夫婦は8年間も結婚していて、単なる家庭の事情で別居をしたら在留資格更新にならず、収容されました。
子供がいる・いないに関わらず、皆「法律上」も「精神的」にも婚姻していて、愛する夫や妻とただ、抱き合いたいだけなのです。
それにも関わらず、私たちの申し入れに対し、所としては「回答はしない」とし、私たちの想いをはねのけるような感じでした。
病気がちな妻が中に収容されている、ある日本人の夫は「何も来るたびにさせてくれ、と言っているわけではない。
月に1回でもいい。特別な日にはなおさら、どうにか妻の手を握ることはできませんか」と、気持ちを話してくれました。
私たちは特に何も難しいことを要求していないと思います。
実際「人道的配慮」をうたって作られた面会室があるのです。
家族だからついたてなしのその部屋で会わせて下さい、そう話して申し入れは終わりました。




それから一週間後の1月31日、再び同じメンバーで総務課を訪れ「どうなっていますか」と聞いてみました。
ところが、「センターの幹部が目を通した」という回答しかもらえませんでした。
総務課は全体収容者の一体、何割が日本に家族がいるため在留を望んでいるのか調べ、
警備課と運用にむけ調整を始める、ことはおろか、いまだ、単に「申し入れを聞き入れた」だけです。
これからも被収容者家族会は、特別面会ではなく、収容施設の処遇改善を求め、申し入れを行っていくつもりです。
愛する家族を収容する限り、所では最大限のケアをしてほしい、そう思っています。



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申 入 書
2012年1月24日
東日本入国管理センター所長 殿
収容者家族会

      現在行われている第二面会室の使用ですが、使用要領の5. に該当します家族間への配慮をお願い致します。2009年までは第二面会室の使用が認められていたが、鳥インフルエンザの流行により許可が厳しくなったと聞いています。しかしながら、感染症の心配がない現在、貴センターにおかれましては積極的に許可を出していただき、家族間のコミュニケーションが最大限できるよう人道的配慮をしてもらいたいと思います。
夫婦間の身体的接触は保安上問題がないと思います。たとえ数カ月であっても、家族にとってこのような突然の「別離」はストレスとなって、家族を苦しめています。中には遠方から月に1度程度しか面会に来られない者もおります。そのような夫婦間において、実子がいない、または同伴でなくとも第二面会室が使用できるようにお願い申し上げます。
      そして被収容者の法律上「子供」である場合には実子・養子問わず、就学中は面会に来られないことを考慮して、学校の長期休暇中において事前の申し出がなくても使用許可をしていただけるようお願い致します。
      私たちの愛する家族を身柄拘束し続ける限り、積極的に第二面会室の使用を認めていただき、家族がバラバラにならないよう貴職におかれましては、今日の家族会の要望を十分に考慮していただきたいと思います。

      以下、この要望に対し賛同している家族の署名です。

【署名は省略】


回答は24年 2 月 2 日、収容者家族会の代表者に頂きたいと思います。また、不許可の際には理由を教えてくださいますようお願い申し上げます。
以上