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関東仮放免者の会「宣言」/賛助会員募集とカンパのおねがい

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Monday, April 3, 2017

友人Vさんの手記――入管でのNさんの死について


  東日本入国管理センターに収容されていたベトナム人Nさんが、3月25日に亡くなった事件。Nさんの死因はくも膜下出血であったとロイター通信が報じています。


  前回記事で述べたとおり、Nさんは、(私たちが他の被収容者の証言をえてわかっているだけでも)遅くとも亡くなる1週間前にあたる3月18日には、すでに首の強い痛みを入管側にうったえていました。しかも、この亡くなるまでのあいだ、くり返し、継続して「痛い、痛い」とうったえていたといいます。


    Nさんが「痛い、痛い」と叫びつづけた1週間のあいだ、もし入管が外部の病院に連れていき受診させていれば、Nさんは命をとられることはなかったかもしれません。同センタは、Nさんの死亡直後に発した「現時点で処遇に問題はなかったと考えている」との所長コメントを撤回して、処遇の問題について徹底検証し、今度こそ真剣に再発防止策を講じるべきです。

  以下に、亡くなったNさんの古くからの友人(Vさんとします)の手記を、Vさんご本人の承諾のもと公開します。Vさんは、東日本入管センター7Bブロックに現在も収容されています(注)。なお、原文中にある人名はイニシャル表記にあらためました。記事末尾に掲載している手紙の画像も、人名等が見えないよう加工しました



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こんにちは。

支援者たちへ!

  私は V と申します。ベトナム人です。

  今日、2017年3月25日、大変のこと起きたですよ。

  私の[収容されている]7Bブロック209号室で、一人のベトナム人が亡くなりました。亡くなった人は、名前はNさんです。原因は入管に見殺しだったので、死亡時間は午前1時15分に搬送されましたが、本当はNさんが死んだ時間は多分2017年3月24日夜8:00ごろでした。

  Nさんと私は同じインドシナ難民です。5年前に私とNさんは横浜入管から仮放免許可されましたが、今までずっと5年間に毎月仮放免の延長していますので、今回の仮放免延長のときに、そのまま理由がなく名古屋入管に強制収容されましたが、その後、品川入管に移送されて、そして品川入管から東日本入国管理センターに来ましたですが、入所[の]ときはNさんは体調不養なったので、指定された9Aブロックでした。[Nさんの9Aブロックでの]同室人はNさんが入ってから3~4日ぐらい朝から夜までずっと痛痛しい[ので]職員を呼んで診察してもらったので、熱が高いと思ったですが、診察終ってから、ブロックがチェンジになりましたので7Bブロック2017年3月18日土曜日18時30分くらいです[Nさんがずっと痛い痛いと言い続けたので見かねた同室者が担当を呼び、体温と血圧を測らせたところ、非常に高熱だったので18日(土)に7Bに移された]。7B-209室なった。

  一人部屋ですので[けれども?]、Nさんと私は、もともと友だちです。[Nさんは]7Bブロック来てから4日間ずっと室内一人で痛痛しい。私はNさんの室に来て様子みました。Nさんは声かけたけど、何も返事してなかった。

  [Nさんの]一人苦しそうな姿を見て可哀想に思いますが、その4日間に職員たち誰でも見に来なかったので、3連休あけ3月22日[←当会支援者が執筆者に面会して確認したところでは、「22日」は誤記で「21日」が正しいとのこと。]Nさんの苦しそうな姿に通路出て、私とNさんに卓球台上に横なってNさんと話したので、「どこが痛いですか?」と[私が尋ねると]Nさんから言うて「首と頭がすごく痛いですが」、私たちは、すぐ職員を呼んで、「Nさんが痛い言ってるけど、早く医者に見[せ]て下さい」、そのときは13時30分だったので、けっきょく15:00すぎNさんを[診察室に]連れていったけど、医者さんはレントゲン診断と痛み止めの薬を出すだけ、室に戻ってからあと担当たち一切来なかったので、それとNさんは苦しい間ずっとごはんを食べてなかったので、本人は「おかゆごはんほしい」と言うたので、担当に「ダメ」言われた。Nさんは日本語をあまり分からないし、一日牛乳を1本飲むだけ。本当に入管たちに人殺しと同じ思う。

  いつも私たちのウソ病気に言って思ったので[Vさんによると、Nさんの痛みの訴えについて職員は他の被収容者に「ウソ病気」だと話していたという]、私たちは人間だから、この件が一日でも早く解決してほしいですので、命が入管にとられましたです。

  Nさんが死んだ一日前[3月23日]の夜は本人はとっても苦しんで、担当たちに来てもらうけど、Nさんの自身も分からないので、「痛い痛い」と叫ぶのときは、担当たちの口から言うた、「静かにしろ」と言われましたが、Nさんのことはまったく不用心なので、こんな病気が外の病院に通院させてなかったので、次の日2017年3月24日の夜10時ごろ担当さんがライターと灰皿を回収のときに「Nさん――Nさん灰皿下さい」。Nさんはまったく反応してないので、あと10時15分ごろ3人担当がNさんの部屋のドアをかぎあけたのしゅんかんにドアをしめたまま、逃げました[Nさんの居室から立ち去りました]けど、しばらく夜中2017年3月25日午前1時15分再び3~4人担当にNさんの部屋のドアをあけて、中入って心電図をしてますので、そのあと救急車隊員たちが来てNさんの遺体は外の通路で担架に乗せて、カメラ設置された場所にNさんのしんぞうをマッサージして、そのやりかたはかたちだけ、本当はNさんが何時間前亡くなった。遺体は固まってましたが、とっても可哀想の死に方、7Bブロック6人いますので、みんな全てわかります。

  私たち[7Bブロックの被収容者]はほとんど病気人ばっかりなのにパキスタン人は1年間ごはんをまったく食べてないのですが、入管たちはぜんぜん心配してなかったので、私も肝臓病気とC型肝炎持ってますので、ここ中でC型肝炎を治したいけど、お薬下さいと願いしたけど、ここの医者さん[から]は、ひどいの言葉を言われた、「ここになおる薬はない、外に出て自分で治しなさい」。入管のドクターは、どんな病気でも「大丈夫」と言いますので、私たちは、こんな場所で死にたくないです。これ以上、私たちががまんできないので、Nさんと同じなりたくないです。

  どうか、私たちに助けて下さい。お願い致します。

  上記のこと全て真実のことです。

[Vさんの署名]

2017-3-25 記
[7Bブロック被収容者6人の名前、部屋番号、国籍]

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注)
  掲載にあたり、原文の誤字と助詞を一部修正し、改行による段落わけをしたところがあります。また、Nさんや職員の会話での発言を記したところにはカギかっこ(「  」)を付しました。[    ]内は注釈や説明をおぎなったものです。

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Thursday, March 30, 2017

「痛い、痛い」と訴えるも放置――東日本入管センターでベトナム人被収容者が死亡



  またもや入国管理局(入管)の収容施設で死亡者が出ました。

  東日本入国管理センター(茨城県牛久市)に収容されていた40歳代のベトナム人男性Nさんが、亡くなりました。新聞報道等によると、Nさんは搬送先の病院で3月25日午前2時20分ごろに死亡が確認されたと同センターが発表したようです。死因は不明で、牛久警察署が司法解剖をおこない死因を調べる方針だとのことです。

  仮放免者の会としては、Nさんが死亡にいたった経緯などについて、現在、調査をしています。死亡の原因については今後の解明を待たなければなりませんが、死亡にいたるまでNさんがくりかえし痛みをうったえ診療を求めていたにもかかわらず、同センターはこれを詐病扱いしてとりあわなかったことが明らかになりました。

  Nさんが他の入管収容施設から移収されて東日本入管センターに入所したのが、3月15日(水)。同18日に、亡くなるまでを過ごしたブロック(収容区画)の単独室に移されます。以下、Nさんと同じブロックに収容されていた人が支援者にあてた手紙と、面会での聞き取りなどから明らかになった同センターの対応を、時系列にそってまとめたものです。


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■18日(土)
  18:30ごろに単独室への移室。以降、Nさんは居室にいて「痛い、痛い」と首から肩にかけての痛みを訴えつづけ、「医者に連れて行ってくれ」と言って診療も求めたが、4日間にわたって医療的な対応はなんらなされなかった。

■21日(火)
  13:30ごろ  同じブロックの被収容者たちがNさんから症状等を聞き取ったうえで、職員を呼んで診療を要請。
  13:40ごろ  職員が湿布と氷枕をもってきて「もう少し待ってて」と言った。
  15:00ごろ  所内の診察室でようやくグエンさんの診察がおこなわれた。X線検査と痛み止めの処方。

■23日(木)
  夜  Nさんはとても苦しんでいたので、同じブロックの被収容者たちが職員を呼び出した。このとき職員はNさんにむかって「静かにしろ」と言った。

■24日(金)
  朝から夕方までNさんは「痛い、痛い」とくり返し叫んでいた。しかし、職員はこれに対応せず。
  20:00ごろ  それまでずっと「痛い、痛い」という声が聞こえていたのが、急に静かになった。
  22:00ごろ  喫煙具の回収に来た職員が居室内のNさんに声をかけたのが他の被収容者に聞こえたが、Nさんからの応答は聞こえなかった。
  22:15ごろ  職員3名がNさんの居室を開錠して様子をうかがったが、すぐに立ち去った。

■25日(土)
  1:15ごろ  職員が居室からNさんを担架にのせて運び出し、心臓マッサージなどの処置をおこない、病院に救急搬送。同じブロックの被収容者は、このときNさんの身体は硬直しておりすでに「遺体」であったと証言している。
  2:20ごろ  搬送先病院でNさんの死亡が確認された(茨城新聞、ロイター通信等の報道による)

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  おどろくべきことに、東日本入管センターは、叫び声をあげるほど痛がり診療を求めていたNさんを、判明しているだけで少なくとも4日間(3月18日~21日)、医療的な対応をせずに放置しつづけたことになります。21日になって、Nさんの悲惨な状況を見かねた同じブロックの被収容者たちの要請に応じるかたちで、ようやく入管側はNさんを受診させます。ところが、21日の診察後も痛みをうったえるNさんを死にいたるまで入管は放置しつづけました。

  なぜ、このようなむごたらしい医療放置がおこったのでしょうか?  その要因として強く疑われるのは、職員らがNさんの痛みのうったえを詐病(仮病)とみなしていたのではないかという点です。実際、職員がNさんのうったえを「ウソ病気」であると発言したのを聞いたと、おなじブロックの被収容者が証言しています。詐病と職員たちがみなしていたと考えれば、「痛い、痛い」と叫ぶNさんにたいする職員の「静かにしろ」という暴言のゆえんも、理解できます(むろん、このような暴言を施設職員が入所者にむかってはくことは容認できません)。

  当然ながら、病状についての評価をおこなうことができるのは、そのための専門的な技能と知識をもつ医師だけです。入管職員(入国警備官)は、そうした評価をおこなう能力はないはずですし、おこなうべきではありません。ところが、入管の収容施設においては、医療についての専門家ではない入管職員が、被収容者の病状についての評価、医師の診療を受けさせるかどうかの判断をしばしばおこなっている実態があり、これまでその点を私たちは問題にし、入管当局に対しても改善を申し入れてきました。

  私たちは、2013~14年にかけて東京入管および東日本入管センターであいついだ被収容者の死亡事件において、実際に職員が医療的な判断・評価をおこなっていた事実を、他の被収容者の証言などから明らかにしたうえで、医療処遇における「改善すべき課題」として以下の4点を示しました。


(1)医師でない者、入管職員が被収容者の病状について判断し、予断にもとづく対応をしてはならない。
(2)各収容施設に勤務する医師が医道に基づいて良質かつ適切な医療をほどこせるよう、医師の独立性を尊重し、その診療を制約させるような介入をしてはならない。
(3)医師にはそれぞれの専門性、すなわち能力の限界がある。また収容施設内の診療機器・薬剤などの制約がある。そのため、医師が患者への責任を負ううえで、しばしば外部病院の専門科・専門医による受診の必要性があるとの判断が出る。その場合、速やかに被収容者(患者)を外部受診させなければならない。
(4)以上のために必要な予算を確保すること。 
なぜ入管の収容施設で死亡事件があいつぐのか?――医療処遇について仮放免者の会の見解】(2015年3月11日)


  入管は、結局、4人をあいついで死なせた事件を教訓としていかせず、医療処遇の根本的な欠陥を改善しえないまま、またもや死亡者を出してしまいました。もちろん、Nさんに対する入管センターの対応と、Nさんの死亡とのあいだの因果関係については、今後の検証・解明を待たなければなりません。しかし、痛みをうったえるNさんについて、医師ではない職員が予断にもとづいて「ウソ病気」と判断し、そのことによってNさんが亡くなるまで医療処置を受けられなかったという事実は、大変に重いものと言わざるをえません。

  法務省と東日本入管センターは、今回の事件について、処遇上の不備・欠陥がなかったのか、今後、真摯に検証すべきです。ところが、新聞報道によると、同センターは「現時点で処遇に問題はなかったと考えている」との所長(北村晃彦氏)によるコメントを発表しています(3月26日付『茨城新聞』)。

  死亡事件直後に発せられたコメントが、今後の検証作業を約束するものではなく、「問題はなかったと考えている」という、保身と責任回避を第一に考えたとしか思えないようなものであったことには、おどろかずにいられません。「問題はなかった」という(入管にとって)希望的な予断のもとにおこなわれる検証作業では、処遇上の問題の洗い出しが徹底的におこなわれるとは思えません。

  今回、同じブロックに収容されている被収容者たちが、Nさんが亡くなるにいたる経緯を記した手紙を、支援者にあずけてくれました。その手紙は、Nさんの死について「とてもかわいそうな死に方でした」とつづる一方で、「私たちはこんな場所で死にたくないです。これ以上、私たちは我慢できません」とも書かれていました。この言葉に、法務省および東日本入管センターは、真剣に向き合うべきです。

Tuesday, February 21, 2017

【記者会見のお知らせ】内外で排外主義への危機感が高まる中、入国管理局がチャーター機を使用してタイ人を集団送還

報道各社あてに、以下ご案内を送付しております。

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内外で排外主義への危機感が高まる中、入国管理局がチャーター機を使用してタイ人を集団送還

2017年2月21日
仮放免者の会   事務局長 宮廻(みやさこ)満
090-6547-7628  
miyasako316★ksh.biglobe.ne.jp
(★を@に変えてください)


記者会見    2月21日(火)16時30分~   司法記者クラブ
会見者     仮放免者の会




[事案の概要]

  入国管理局は、本年2月20日(月)から21日(火)にかけて、タイに非正規滞在者を、チャーター機を利用して集団強制送還した。(本日15時半から法務省にて発表があります)

  2013年から開始された非正規滞在者へのチャーター機送還は今回で6回目。家族分離、難民の送還など、様々な問題を指摘されつつ継続されてきた。非正規滞在者の中には、80年代後半からのバブル景気の時期に来日して働き続きてきた者も多く、来日20年以上になる者を強制的に送還することへの批判もある。

  欧米での難民受け入れ拒否の動き、トランプ政権での移民の強制送還への動きなど、国際的にも排外主義への動きとそれへの危機感が高まる中、我が国においても、非正規滞在者に対して、事情を無視した非人道的な送還が行われている。

  今回のタイ人チャーター機送還において、
ケース① 50代男性 2001年来日 タイ人永住者の女性と婚姻。この女性に日本国籍の子がおり、男性も含めて家族として生活していた。
ケース② 50代男性 1991年来日。バブル期に来日し、25年間以上、日本で建設業などに従事してきた。
  などのケースも含まれている。

  ケース①の家族分離の問題は明らかな人権侵害である。妻としても、日本人である子を育てており、タイに転居することはできない。ケース②は独身者であるが、25年間以上日本で生活し、生活基盤は明らかに日本にある。四半世紀を経て、50代で帰国しても、生活の見通しは立たない。

※入管は、不法滞在者を大量に、また①確実に、②安価に、送還できるとチャーター機送還を開始した。当初、年間3千万円で二百人の送還を予定した(一人当たり15万円)。しかし第三回(32人)は一人120万、第四回(22人)は一人159万円と、人数が少ないうえに個別の強制送還よりも格段に高額となっており、費用対効果の面からの批判も出されている。

以 上

Tuesday, December 6, 2016

【告知】1・4「仮放免者に在留資格を!」デモ / MARCH AGAINST IMMIGRATION BUREAU


1月4日(水)に東京入国管理局にむけてデモをおこないます。


2017年1月4日(水)  1:30PM
集合:JR品川駅(港南口)入管ゆきバス停前

Wednesday, 4 January, 2017
Location: Shinagawa Sta. (Konan Exit)






◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇


  法務省の報道発表資料によると、退去強制令書発付処分を受けたものの、送還にいたらず収容を解かれている仮放免者数は、2015年末の時点で3,606人にのぼったとのことです。

  この仮放免者数は、2009年7月段階での約1,250名でした。およそ6年の間に、3倍近くも増えていることになります。

  このように多数の仮放免者が存在し、いっこうに減っていないどころか増えているという現状が、人権の観点からきわめて重大な問題であることはあきらかです。この4,000人にせまろうとしている仮放免者は、就労が認められず、また在留資格がないために健康保険に加入できず高額な医療費がかかるため、体調不良があっても通院をひかえざるをえないという人も少なくありません。また、仮放免中の高校生・大学生ら(注1)は、ほとんど見知らぬ国籍国へと送還されるかもしれないという不安な状態におかれ、卒業後の展望を持つことも困難です。

  こうした仮放免者数の増加は、私たちがこれまで主張してきたように、ひとつには難民認定率のいちじるしい低さの結果であり、もうひとつには、バブル期以降の外国人をいわば使い捨ての労働「力」として利用してきた、日本政府のご都合主義的な労働政策の結果といえます。非正規滞在者をふくめ一時的な労働「力」として呼び込んだ外国人の少なくない数のひとびとが日本社会に定着していくのは当然のことでした。ところが、日本政府は、2004年にはじまる「不法滞在者の半減5か年計画」、そして2009年以降に顕著となった強力な強制送還執行の方針によって、非正規滞在者を一掃しようとしたのでした。政府のこのような強硬方針は、2010年以降ゆきずまり、先にみたように仮放免者数が年々増大していくという現状をまねいているのです(注2)

  法務省および入管各局は、強制送還を強硬に進めていくことで仮放免者数を減らすという、すでに破綻したことがあきらかな方針に今も固執しているようにみえます。再収容、長期収容、また2013年に始まったチャーター機を使用した集団送還は今年もおこなわれました(注3)。しかし、このように送還執行の強化によって仮放免者数は減らせないことはもはや明らかですし、こうした強硬方針を今後も続けることは、再収容・長期収容によっていたずらに心身を傷つけ、また収容されなくても仮放免状態が長期化することで仮放免者の健康や子どもの将来についての問題を今以上に深刻化させることにしかなりません。仮放免者に在留資格を認め、合法化していくということによってしか、問題の解決はないのです。

  ともに声をあげましょう。また、東京入管に収容されている仲間たちを外から激励しましょう。







【注】

1.仮放免中の高校生・大学生らについては、以下記事参照。



2.以上の経緯については、以下の記事を参照してください。



3.9月22日に法務省は、スリランカ人30人をチャーター機で強制送還しました。

Tuesday, November 8, 2016

裁判傍聴記(1)――大阪入管診療拒否事件


  9月16日(金)、Aさんの国家賠償請求訴訟の第1回期日があり、これを大阪地方裁判所にて傍聴してきました。


  裁判は、予定どおり13時10分に大阪地裁の806号法廷で開廷しました。小さな法廷でしたが、15人ほどの傍聴人が集まり、傍聴席はいっぱいになりました。

  原告席には、中井雅人・清水亮宏両弁護士が着席。原告のAさんは不在。大阪入管に収容中であるとはいえ、原告本人がこの場に来れないのはおかしいという気もします。

  被告席には、国側の弁護士2名のほか、大阪入管の職員3名の姿もありました。

  まず、原告意見陳述として、この場に来れないAさんにかわって、清水弁護士がAさんの陳述書を読みあげました。Aさんは、大阪入管にこれまで治療を拒否され続けてきたこと、費用を自分で出すと言っても診療を拒否されたこと、入管が何もしてくれないためにストトレスがたまり心身ともに状態が悪化していることなどを述べ、「しっかりと裁判長には書類を読んでもらいたい」とうったえました。

  つぎに、中井弁護士が原告代理人意見陳述をおこないました。中井弁護士は、法務省入国管理局が「全件収容主義」という考えをとっていること、また刑事事件であれば要求される司法審査をへないで入管が身体拘束をおこなっているということについて、批判しました。そのうえで、こうした形で被収容者の身体の自由をうばっている以上、入管には「被収容者の生命・健康に対して最高度の注意義務がある」と指摘しました(中井弁護士による「原告代理人意見陳述」はこの記事の末尾に全文を掲載しましたので、ぜひ一読してください)。

  人の身体を拘束しておきながら、診療をせずに放置し、収容主体としての最低限の責任すら果してこなかった大阪入管に対しては、あらためて怒りがわきます。Aさんは、右半身がしびれるとか、口元が思うように動かなくてろれつが回らないといった症状をうったえてきました。常識的にみて、尋常ではない症状です。このような症状を、もし家族や友人がうったえたならば、放置するということはありえないでしょう。ところが、大阪入管はAさんの診療要請を拒否しつづけました。死の恐怖をおぼえるようなひどい症状をくりかえしうったえても、とりあってもらえず、診療を拒否される。Aさんの絶望感・孤立感たるや、想像するにあまりあります。

  裁判では、Aさんに対する大阪入管の医療ネグレクト、人権侵害が追及されることになるのだと思われます。同時に、この裁判が、入管による「収容」のありかたについて、人身の自由、基本的人権の観点から根本的に問い直される機会になってほしいものです。今後とも、この裁判に注目したいと思います。

  この日は、被告である国側による答弁書は出ておらず、11月までに被告が提出するということになり、次回の期日は11月18日(金)13時からと決まりました。引き続いての傍聴・注目をよろしくお願いいたします。


第2回
  日時:11月18日(金)  13:10~
  場所:大阪地方裁判所806号法廷




◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇

追記)
  この第1回期日のひらかれた前日にあたる9月15日、Aさんふくめた大阪入管の被収容者3名に、当ブログの以下記事を印刷したものを差し入れしようとしましたが、大阪入管(福山宏局長)はこれを許可しませんでした。
  差し入れを認めないのは保安上の理由からということのようですが、読んでもらえればおわかりのとおり、裁判への注目と傍聴を一般に呼びかけただけの、どうということのない記事です。保安上の問題などあるはずがありません。たんに大阪入管に対する批判的な言及のある記事を被収容者が読むのはゆるせない、というだけの理由での不許可であることはあきらかです。国の機関であり、公的機関としての体裁をたもたなければならないという自制すら、もはや現在の大阪入管にははたらかなくなってきているようです。




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原告代理人意見陳述書
2016(平成28)年9月16日
 大阪地方裁判所第7民事部 御中
原告訴訟代理人 弁護士 中 井  雅 人
 身体が不当に拘束されてはならないことは、あまりにも当然のことです。あたりまえ過ぎるため、日本国憲法は、人身の自由を正面から定めた明文規定を置かず、憲法31条以下において、身体拘束等について適正手続を定めることで、人身の自由を実質的に担保しようとしているのです。
 特に、刑事事件においては、憲法31条以下の規定が刑事訴訟法においてさらに具体化され、「被疑者」「被告人」には、令状発付審査、準抗告、保釈等かいくつもの司法審査を受ける権利が保障されています。身体拘束は生命を奪うことに次ぐ重大な人権制約であることからすれば当然のことです。また、特に昨今の刑事司法実務においては、身体拘束という人権制約の重さにかんがみ、罪証隠滅及び逃亡を疑うに足りる相当の理由を厳格に審査し、身体拘束からの解放を認めようとする傾向にあります。
 他方、法務省入国管理局(日本政府)は、退去強制事由に該当する疑いさえあれば、逃亡の危険等、収容の必要性がない場合であっても、人身の自由を奪う収容が可能であるという「全件収容主義」という考えを一貫してとってきました。これは、外国人にも原則として人身の自由が保障されるという当然の考え方と相容れない解釈です。
 このように入国管理局は、司法審査を経ず、かつ「全件収容主義」のもとで、被収容者の身体の自由を奪っているわけですから、被収容者の生命・健康に対して最高度の注意義務があるといえます。当然、入管法61条の7を受けた被収容者処遇規則は、「所長等は、被収容者がり病し、又は負傷したときは、医師の診療を受けさせ、病状により適当な措置を講じなければならない。」と定めています。
 しかし、大阪入管では、外部の専門医の診察を受けることができないだけではなく、どんなに体調不良を訴えても、そもそも医者と会うことすらできないという現状にあります。
 「高血圧や糖尿病の人、聴覚が異常に低下している人などが、何度も何度も何度も医者に診てもらいたいと訴えても、診てもらえない。痛みに耐えかねて抗議すると、懲罰房(独房)に入れられ、制裁を加えられる。」という現状があります。
 本訴原告は、医療を受けられない被収容者の中でも、脳梗塞歴がある生命の危険が高い、特に深刻な問題のある方です。それにも関わらず、訴状記載の事案の概要のとおり、度重なる診療拒否を受けています。職員の勝手な判断によって、血液の流れをよくする薬の投薬中止も受けています。入国管理局では、過去に死亡事故を複数件発生させています。失われた人の命は二度とも戻ることはありません。 
 裁判所には、憲法及び入管法の正しい解釈を踏まえた、迅速で適正な判断をお願いしたいと思います。
以 上

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関連


Tuesday, October 18, 2016

10月23日(日) 仮放免者の会 第7回大会


仮放免者の会  第7回大会
PRAJ 7th ANNUAL CONFERENCE





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2016年10月23日(日曜日)12:30pm
集合・JR板橋駅 西口
会場・ハイライフプラザいたばし
一時旅行許可・東京都板橋区


10がつ23にち (にちようび)12:30pm
しゅうごう・JRいたばしえき にしぐち
かいじょう・ハイライフプラザいたばし
いちじりょこうきょか・とうきょうといたばしく


10gatu23niti(nitiyoobi)12:30
syuugoo:JR Itabasi eki nisi guti
kaijoo: High life plaza Itabasi
itiji ryokoo kyoka:tookyooto itabasi ku


みやさこMiyasako 090-6547-7628  | くどうKudoo 080-1008-9219  |  Elizabeth(English available) 080-4163-1978



Sunday, October 9, 2016

法務省入管に申入れ――スリランカへの一斉送還などについて


  10月6日(木曜)、仮放免者の会として、法務省入国管理局に申入れをおこないました。

  申入れの趣旨は、2点です。1つは、9月22日に法務省がおこなったスリランカ人30人の一斉強制送還に対する抗議です。2点目は、大阪入国管理局が当会の支援者1名に対して3か月間にわたり被収容者との面会を許可しない処分を続けていることについて、今後面会を許可するよう申し入れたものです。

  以下、この日に提出した申入書2通を掲載します。


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申 入 書
2016年10月6日
法務大臣 殿
法務省入国管理局長 殿
仮放免者の会
 本年9月22日(木)、貴職らはスリランカ人30人をチャーター機で強制送還しました。これについて抗議し、以下、申し入れます。
 退令仮放免者は昨年末、3,606人に達し、貴職らも退令仮放免者数の増大を問題とされているところです。これらの退令仮放免者の中には、私たちが在留特別許可を求めている、①2003年以前の入国者、②日本に家族がいる者、も多数、含まれています。1980年代後半のバブル景気の時期から非正規滞在の外国人労働者が増大しましたが、2004年に始まる「不法滞在者5年半減計画」によって摘発が進み、帰国できない事情を抱えた人たちがあぶりだされて来ました。これらの人たちは、過酷な長期収容にも耐え、仮放免となりました。また、私たちは難民申請者について、UNHCR難民認定ハンドブックに従って認定手続きを進めるよう求めていますが、ハンドブックが指摘する「灰色の利益」に相当する難民申請者も多数含まれていると思われます。
 無権利状態に置かれている退令仮放免者数の増大は、私たちとしても社会的に問題だと考えています。なおかつ、仮放免期間が5年を超える者も多数、出てきています。仮放免期間の長期化は、命にかかわります。一切の社会保障制度から排除されている仮放免者は、健康診断の機会もなく、体に異常を感じても全額自己負担となる高額な医療費に躊躇して受診しないケースが多く見られます。
 こうした仮放免者数を減少させることは、社会的にも求められていると私たちも考えます。しかしその方法は、今回も貴職らが行ったような、本人たちの意思に反しての強制送還ではなく、バブル期以降の非正規滞在者の歴史経緯に鑑み、最大限、在留特別許可によって救済する方法によるべきです。
 貴職らは、3回目となる2014年12月のチャーター機送還において、難民申請者を強制送還するという暴挙に出ました。送還前日に難民不認定異議棄却通知をおこない、6ヶ月以内なら難民不認定取消訴訟を提起できることを教示しおきながら、弁護士への連絡も許さずに貴職らは送還を強行しました。教示とは裏腹に、本国に送還された者たちは難民とは認められないため、難民不認定取消訴訟を提起することができず、今年8月2日には、被送還者が名古屋地方裁判所に国家賠償請求訴訟を提起しました。本年9月22日の送還でも、難民申請者が半数以上いると思われます。難民申請者の強制送還の是非について、司法の場で争われている今日、司法判断を待つこともなく繰り返された今回の送還に、私たちはよりいっそう強く、抗議するところです。
以 上

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申 入 書
2016年10月6日
法務大臣 殿
法務省入国管理局局長 殿
仮放免者の会
 当会支援者であるN[原文では実名表記のところ、ここではイニシャル表記とした。以下同様]の被収容者との面会が大阪入国管理局にて許可されない状況が続いている。最後に許可された面会は、7月8日のもので、この面会中のNの言動が、以後、大阪入国管理局が不許可処分を継続させている直接的な理由となっているものと考えられる。ところが、この日の面会中のNの言動において、以後の面会を継続的に不許可にするのに正当な保安上の理由があるとは思えない。
 資料として添付した当該面会についての「被収容者面会簿」[注:個人情報開示請求によって開示された大阪入管保有の文書]の「備考」欄には、Nが「局長は本当に命を軽く考えている」旨、発言したと記録されている。しかし、この発言は大阪入国管理局の被収容者に対する処遇をNが論評したものにすぎず、面会を許可しない正当な理由たりうるとはとうてい考えられない。
  当該面会において、被収容者が立会の職員を非難する発言をおこない、中止しなかったことから、当該面会を中止するとした職員の判断については、保安上の観点から理解することもできる。しかし、このことが、以後3か月にわたって、他の被収容者とのものもふくめNによる面会申出を継続して不許可にする正当な理由とは考えられない。
 以上のように、収容場の保安上の観点からみて、Nの面会が許可されない正当な理由として考えられるものがなく、Nが局長に対する批判的な論評をおこなってきたことに対する報復・意趣返しとして面会を許可しないのではないかと考えるよりほかない。
 面会が許可されなくなって以後も、大阪入国管理局の複数の被収容者からの面会要請・支援要請の連絡はたえない。正当な理由なく、被収容者が支援を得る機会を奪っているという点で、一連のNに対する大阪入国管理局の面会不許可処分は問題である。大阪入国管理局がNによる面会申出を許可するよう申し入れる。
以 上

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