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関東仮放免者の会「宣言」/賛助会員募集とカンパのおねがい

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Wednesday, April 25, 2018

東日本入管センターに申入れ(Dさんの死とこれを契機としたハンストについて)

 インド人被収者Dさんの自殺をうけての東日本入国管理センターでのハンガーストライキ。私たちは、24日(火)、ハンスト参加者を中心に面会してその後の状況について聞き取りをおこないました。

 先週、ハンストをしていた5A、5B、7A、9A、8Aの各ブロック、遅れて合流した2Bブロックは、いずれも先週末から月曜日にかけてハンストを解除し、摂食を再開していました。いっぽうで、日曜日ごろからハンストを開始した人も、複数いるようです。

 東日本センターがどのような対応をとるのか、また、東日本センターはじめとする各入管収容施設において長期収容がどうなるのか、今後とも推移を注視したいと思います。このかん、同センターや法務省入国管理局に対してさまざまなかたちで抗議の意思を示されたみなさまに敬意を表します。

 なお、25日(水)午前、東日本入管センターにて、仮放免者の会として文書および口頭での申入れをおこないました。


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申 入 書
2018年4月25日
法務省入国者収容所東日本入国管理センター所長 殿

仮放免者の会(関東)
BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)

 本年4月13日(金)、東日本センター5寮Aブロックに収容されていたインド人男性・Dさんは自ら命を絶たれた。Dさんは東京入管収容場から合わせて9ヶ月の長期収容となっていたが、直近の仮放免申請が3ヶ月近くたっても結果が出ず、周りの被収容者の経験から許可となる可能性が高いと期待していたが、自殺の前日、またもや不許可であったと知り、自殺に及んだと、同ブロックのDさんと親しい被収容者から私たちは聞いた。
 また、Dさんの死を契機に、彼の死を悼み、彼を死に追い込んだ長期収容に抗議し、ハンガーストライキがブロックを越えて広がった。先週から、私たちは5Aブロックを中心に各ブロックと面会し、ハンストに至る経緯、目的、状況などを聞いた。寮、ブロックを越え、国籍・在留理由などの違いを越えた大規模ハンストは、過去、2010年5月、2012年8月にも発生しており、これで3回目となるが、これまで以上に大規模であると同時に、Dさんの死という突発的な事件を契機に起こった今回のハンストは、開始日も収束日もバラバラであり、目的においても、各ブロック内においてもハンスト参加者の間で事前に統一されて始められたわけではない。特に、Dさんと日々の収容生活を共にしていた5Aブロックと他のブロックでは、ハンストをしてまで貴職に求める要求内容に差異がある。しかし、共通しているのは、長期収容という人権侵害に対する憤りであり、無期限の収容をやめるよう求めている。
 私たちが各ブロックから聞き取りしたところ、15日(日)~17日(火)にかけて、5つのブロックでハンストが始まり、最大で120人を越える被収容者がハンストに参加したとの事である。Dさんの死という、衝撃的な事件があったにしても、ここまでハンストが広がるには、その伏線があった。それは事前にも私たちは報告を受けていたが、本年3月の5寮A・Bブロック8A・9A・9Bブロックによる貴職らへの要求書(書面の表題はそれぞれ異なる)の提出であり、それに対する貴職からの、全面否定の回答である。
 ハンスト参加者の多くから意見として聞いたが、3月の要求書に応え、収容長期化を回避する方向に踏み出していれば、Dさんの自殺は防がれたはずである。
 私たちは、法務省入国管理局から各入国管理官署に、送還を忌避する被退令発付者の縮減が指示されていることは知っている。しかし、収容長期化をはじめとする退令業務の強化は、貴センターにおいて昨年3月にはベトナム人男性の病死を、そして今回の自殺を生み出してしまった。人間の命を絶つまでの退令業務は明らかに人権侵害であり、貴職が彼らを死に追いやったと言わざるを得ない。
 被収容者処遇規則は被収容者への人権の尊重を貴職に求めている(第一条「目的」)。人命の尊重は人権の尊重の最たるものである。本省の方針、政策がどうあれ、東日本センターにおいては、貴職が責任を負って運用にあたらなければならない。これにあたって、被収容者の人権を尊重し、これ以上の犠牲者を出さないよう、以下、申し入れる。

一、収容長期化を回避し、仮放免を弾力的に運用すること
 閉ざされた狭い空間への監禁的拘束は、被収容者の誰においてもストレスを高進させ、その収容が半年に及ぶころには拘禁反応を発症する。しかも、入管での収容は期間の定めのない収容であり、精神的拷問である。地方局・地方支局収容場での入所から通算して6ヶ月を越える収容は明らかに長期収容であり、そのような長期収容者については、仮放免を許可することを求める。
一、被再収容者の早期仮放免
 入管収容施設での収容に耐えて仮放免となった者は、帰国できない事情があるからこそ、耐えたのである。2016年以降、東京入管などは再収容を激増させた。難民手続きの終了や訴訟での敗訴確定、また就労や住居をめぐる仮放免条件違反を契機としてこれらの再収容が行われている。また、再収容は仮放免期間延長のための出頭時に行われるが、再収容される者たちの多くは、次の出頭時には自分は再収容されそうだと予感しながらも、逃亡することはできずに地方局に出頭して再収容される。こうした被再収容者は、本国に帰国できず、日本で在留を求めるしかない事情があるからこそ、再収容を覚悟して出頭しているのである。こうした者たちを再収容し、再び長期収容しても、ただ本人やその家族を苦しめるだけであり、人権侵害を引き起こすだけである。再収容された者については、とりわけて早期の仮放免を求める。
一、病気を訴える者を速やかに受診させること
 いまだに貴センターにおいては、病気を訴えてもなかなか受診させないとか、貴センター診療室に勤務する医師が専門外の病状について外部受診の必要性がないと判断するなど、診療問題が多々残されている。昨年3月のベトナム人男性の死亡事件はその最たるものである。看守職員が受診の必要性の有無を判断することは、無資格者による医療判断である。適切な診療ができないということは、被収容者が命と健康をおびやかされているということであり、一切の言い訳は許されない。予算、人員などの条件から適切な診療ができないのであれば、被収容者数を減少させるなど、できるための措置をとるべきである。貴職が、被収容者の生命と健康を守るための、具体的な改善をなされることを求める。
一、ハンスト発生時は、ハンスト者の体重を測ること
 先週から私たちは、貴センター総務課に何度も口頭で申し入れたが、ハンストをする者については、毎日、体重を測るべきである。無論、本人の意思を無視して体重を測ることはできないが、本人たちの体調管理のためにもハンスト時の体重測定は必須である。今回の大規模ハンストにおいて、面会したどのブロックでも、「なんでハンストをしているのかも聞かれない。体調はどう?とも心配されない。私たちは入管から無視されている」との訴えがあった。貴職が、ハンスト参加者に関して「健康を害する恐れがあり、中止するよう説得している」と報道機関にコメントしているのは全くのウソであることがわかる。だが、「中止するよう説得」することは、その方法によってはハンスト者への脅しともなり、慎重な対応が求められる。しかし、体重測定することは、貴職がハンストの発生を認知しており、ハンスト者の健康状態を気づかっていることをハンスト者に伝えることになる。一方、貴職は「一部ではカップラーメンや菓子などを食べている」とも報告されているようだが、そのような垣間見た情報ではなく、体重測定すれば、体重が減少しているのか否か、減少しているならどれくらい減少しているかなどの客観的な数字を報告することができる。ハンスト参加者が「カップラーメンや菓子など」を食べるのは、服薬のためであったり、過去のハンストで倒れた者がブロックチェンジさせられた経緯があるため仲間が倒れるのを防ごうとしてなど、理由がある。自らができる客観的な調査もせず、官給食を拒食していても自費購入の物を食べていると、ハンストの真剣さ、ハンストに及ぶ被収容者の切羽詰まった精神状態を茶化すような報告は差し控えられたい。
以 上

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関連記事


Monday, April 23, 2018

収容長期化の回避等をもとめる被収容者連名申入書(東日本入管センター)



 直前の2つの記事で、東日本入国管理センターで4月日に起こったインド人被収容者死亡事件、これを受けての120名超の被収容者による集団ハンガーストライキについて報告してきました。


 今回の記事では、時間をさかのぼって、これら事件が起こる1か月以上前の3月5日に東日本センターの5A, 5B両ブロックの被収容者25名が連名で入管側に提出した「申入書」を紹介します。この2つのブロックのうち、5Aは、13日に亡くなったDさんのいたブロックでもあります。

 いたましい死亡事件とこれを契機として広がったハンガーストライキが、どういう背景で起きているのか。この点を理解する上で、この「申入書」が手がかりのひとつになるものと思います。

 記事の末尾には、このたびの事件であらわになった入管の収容と送還をめぐる問題の背景を考えるうえで参考になればと思い、このブログの過去記事をいくつか紹介させていただきました。


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申 入 書
平成30年3月5日

法務大臣殿
法務省入国管理局長殿
東日本入国管理センター所長殿
5A, B寮被収容者
私達は以下要望し、かつ面接にて回答を求める。
1.長期収容は人権侵害であり、収容長期化の回避を求め、再び仮放免の弾力的運用をされることを強く求めます。
2.再収容の中止と再収容された者への即時仮放免を求める。
3.被収容者への医療放置をやめ、診療を求める者は直ちに診療させ適切な処置をとることを求める。
4.帰国忌避者に対する個別の送還やチャーター機による集団送還執行の中止を求める。
5.以上のもとで現在、東日本入国管理センターに収容されている人の中で、余りに長期間収容されている人や深刻な体調不良者等、直ちに仮放免許可等の措置をとるべき人達が居ます。
以 上

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【関連記事の紹介】

 上に紹介した「申入書」提出からすこしたった3月中旬に、東日本センターのべつのブロック(8A, 9A, 9B)で、長期収容をやめるよう求めた嘆願書が提出されています。こちらもあわせてごらんください。


 Dさんは亡くなる前日の4月に仮放免申請の不許可を知らされておりました。Dさんの死が自殺だったのだとすれば、ここ数年において顕著になっている入管施設における収容の長期化がその死に関係している可能性は高いといえます。入管施設における収容とはなにか、また長期収容がなぜ問題なのかについては、以下の記事で解説しております。


 今回紹介した5A, 5Bブロックの「申入書」は、「再収容の中止と再収容された者への即時仮放免」を求めています。「仮放免許可」と呼ばれる手続きで出所した人をふたたび収容することを「再収容」といいます。この再収容を急増させる運用を東京入管がとりはじめたのが、2016年の1月ごろでした。この再収容急増への反発として、昨年2017年の5月に東京入管で被収容者による大規模ハンストがおこりました。東京入管や名古屋入管で再収容されて東日本入管センターに移収されたひとが、今回のハンスト参加者にもすくなくありません。入管当局が再収容を急増させた意図・目的はなにか、またそうした運用変更がどういう点で問題なのか、解説したのが以下の記事です。


 5A, 5Bブロック「申入書」が3点目にもとめているのが医療処遇の改善です。東日本センターでは、被収容者が診療を求める申し出を書面で提出してから、医師の診察にいたるまで通常1ヶ月ほどかかるといいます。被収容者に必要な医療を提供できる能力が被収容者数に追いついていないわけです。そのうえ、収容の長期化傾向は体調不良をきたして診療を必要とする被収容者を増加させるわけですから、収容人数にセンターの収容能力がまったく追いついていないという事態にますます拍車がかかるわけです。

 こうして医師の診療を提供できる能力をこえて多すぎる被収容者をかかえてしまった施設では、どういうことがおきるでしょうか? 「医師による診察が必要か必要でないか」あるいは「どの人を優先的に受診させるか」の判断を、医療の専門的訓練を受けていない職員がおこなうことが横行する結果になります。以下の記事では、入管施設において、医療放置による被収容者の死亡事件があいついでいることの構造的な要因を考察しています。


 以下は、入管が医療放置によって被収容者を死に追いやった最近の事例についての記事です。



 上記「申入書」の4つめの要求項目に関連して。無理やりの送還、とりわけチャーター機を使った集団送還の問題については、以下の記事などで述べています。

Sunday, April 22, 2018

【ひきつづきの抗議の呼びかけ】インド人死亡事件とハンストについて(東日本入管センター)


1.ハンストの現状
 東日本入国管理センターで、被収容者死亡事件を受けて、集団ハンガーストライキがおこなわれていることを、前回記事で報告しました。




 インド人被収容者Dさんの死亡が確認されたのが4月12日(金)。Dさんと同じブロック(収容区画)の被収容者たちが15日(日)の朝からハンガーストライキを始めました。他のブロックでもこのハンストに合流する動きが続き、18日(水)時点で122名の被収容者がハンストに参加する事態となりました。

 私たちは、19日(木)、20日(金)にも、ハンスト参加者を中心に被収容者と面会をおこないました。

 20日時点で最長の人でハンストは6日目になり、目に見えて衰弱している人、めまいや頭痛をうったえる人もいました。病気のある人や高齢の人など食事を再開している人もいる一方で、あらたにハンストを始める人びとが出ているブロックもあります。ハンストは収束にいたっていないというのが現状です。


2.ハンスト参加者の健康状態
 こうしてハンストが長引くと、ハンスト参加者の健康状態が心配されます。ところが、20日までの時点で東日本センター側の対応は、被収容者の健康維持についての収容主体として責任をはたしているとは言えないものです。

 マスコミ報道によると、センター側は取材に対してハンストは「健康を害する恐れがあり、中止するよう説得している」と説明しているようです。




 ところが、私たちがハンスト参加者たちから聞いた事実は、このセンター側の説明とはまったく異なるものでした。各ブロックのハンストをおこなっている被収容者たちに面会して聞いたところ、入管側はハンストに対して20日までの時点で基本的に無視、黙殺する姿勢をとっているということです。入管側はだれがハンストをおこなっているかの把握をしようともしなければ、各人の健康状態についてもハンストの目的についてもいっさい聞き取りをおこなっていない、といいます。マスコミの取材への説明と異なって、「健康を害する恐れ」を心配してもいるそぶりもまったくないし、「中止するよう説得している」事実もないわけです。

 入管は、人を収容してその身体を拘束している以上、被収容者の健康・医療に責任があります。ハンストがおこなわれているという事実を無視するのではなくきちんと認知したうえで、ハンスト参加者それぞれについて健康状態を把握するようつとめるべきだし、食事をとるよう説得すべきです。この点は、20日(金)の午前に、東日本入管センター総務課に口頭で申し入れました。


3.再発防止
 ハンストの問題とはべつに、東日本センターは、「自殺」と思われる死亡者を出した以上、その再発をふせぐことは、きわめて緊急性の高い課題であるはずです。自殺は連鎖してあいつぐ危険性が高いからです。そうでなくても、こういうかたちで仲間を亡くした被収容者たちの精神的なケアは、喫緊に取り組まなければならないことであるはずです。

 私たちがこのかん面会した被収容者のなかにも、自身の精神状態がおかしくなっているとうったえる人がいます。自分自身も自殺を考えてしまう、また、他の被収容者が自分も自殺したいとほのめかすのを聞いたという話も聞きました。とくに、生前のDさんと親しかった人の精神的なケアは、緊急に必要です。

 ところが、東日本センターは今までのところ、こうした課題に取り組もうとしているようにはみえません。Dさんとおなじ5Aブロックの被収容者は、つぎのように語っていました。「Dさんがああいうことになって5Aの人がどう感じているのか、入管は気にしていない。Dさんを悼むために花をかざるのだってこっちが言わないと入管はやらなかった」。前回記事で述べたように、センター側が花を用意したのは、Dさんが亡くなった4日後の17日(火)で、それも被収容者が要求してようやくそうしたにすぎないのです。

 Dさんが亡くなった13日(金)の夕方には、その5Aブロックで、被収容者たちのDさんを悼む気持ちを逆なでするような職員の言動もありました。開放処遇の時間が終わっても居室に戻らない被収容者たちに「部屋に戻りなさい」と命じる職員に対して、Dさんと同国のひとが「人が死んでるんですよ」と言うと、職員のひとりがこれに「それで?」との言葉を返したということです。この職員の発言の事実は、その現場にいた複数の被収容者の証言から裏づけられました。

 この職員の発言、またこの発言にいたる経緯に、今回の死亡事件に対する入管の対応の問題がよくあらわれているように思います。決められた時間通りに帰室するという規律を日常どおりにまもることが何より優先されるべきであり、一方で、人が死んだという出来事とこれに直面した仲間の気持ちは取るに足らない些末なことがらであると、この職員は言ったにひとしいわけです。“人が死んだ? だからなに? そんなことより規律をまもれ”と。

 この発言を近くで聞いていたべつの被収容者が「人が死んだのに『それで?』と言うな!」と厳しい語調で職員に抗議したそうです。この人は、このときに自分で自分の頭を壁に何度か強く打ち付けたといいます。職員たちはこの人を組み伏せておさえつけ、力づくで連行して隔離処分にしました。頭を壁に打ち付けた行為を「自傷行為」とみなしてこれを防止するための隔離処分なのでしょうか。しかし、自傷・自殺をふせぐために入管がなによりもまずしなければならないのは、入管が被収容者の人命を大事にするのだという意思と決意を被収容者全体に示すことではないのでしょうか?

 面会等をつうじて被収容者から聞くのは、不安や動揺にかられ、ときに自殺をほのめかす人すらいるなかで、仲間どうしではげましあったり、相互にケアしあったりを、被収容者たち自身が一生懸命やっているのだという現状です。入管がやるべき仕事をやらずに、被収容者たちに丸投げしているのです。このように収容する側としての最低限の責任をはたせないのなら、ただちに収容をやめるべきです。


4.5Aブロック被収容者の「上申書」
 18日(水)に、5Aブロックの被収容者の18名全員が、法務大臣・法務省入国管理局長・東日本入国管理センター所長の三者あてで「上申書」を提出しました。Dさんの間近にいて寝食をともにしていた仲間たちで、話し合って書いた文書です。

 この文書の全文を紹介するとともに、ひきつづき法務省入管および東日本入管センターへの抗議・意見提示を呼びかけます。


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上 申 書 
平成30年4月18日

法務大臣殿
法務省入国管理局長殿
東日本入国管理センター所長殿

 私達は以下要望し、かつ説明・回答を求めます。
1.本年4月13日に自殺で亡くなったインド人のDさん[原文では実名]の葬式等を本人の宗教に基づいて最後まで全て(費用等含め)の責任を取ることを強く求めます。
2.もう2度と入管週施設での死亡事件が起きないよう適切な処置を施すことを求めます。
 2010年の当所でのブラジル人自殺事件【注】、2013年東京局でのミャンマー人搬送先の病院死亡事件、翌14年の当所でのイラン人、カメルーン人連続死亡事件、同年の東京局でのスリランカ人、2017年には当所でのベトナム人死亡と続きました。この過程では、仮放免・放免直後の死亡もありました。私達の生命や健康については、収容主体である貴職らが責任を負わなければなりません。
以上
[省略――5Aブロックの被収容者18名の署名]

【注】2010年には、2月のブラジル人自殺事件につづいて、4月には韓国人被収容者が自殺する事件も起きています(引用者補足)。

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抗議先
法務省入国管理局
 電話:03-3592-7090
 FAX:03-3592-7393

東日本入国管理センター(総務課)
 電話:029-875-1291
 FAX:029-830-9010


抗議・意見提示の例

  • 健康な人であっても拘禁反応を生じさせる6ヶ月以上の長期収容をやめるべきである。
  • Dさんの死亡の原因・経緯について被収容者全体にていねいに説明するべきである。
  • ハンスト参加者それぞれの健康状態を把握するようつとめること。
  • なぜハンストをおこなっているのか、ハンスト者からていねいに話を聞き、食事をとるよう説得すること。
  • ハンストに参加しているかどうかにかかわらず、死亡者が出て被収容者が動揺し不安をきたすのは、当然である。精神的なケアにつとめ、これ以上の死亡者が出ないようにすること。それができないなら、収容をやめるべきであるし、職員の人員等がたりないのであれば、仮放免によって被収容者数を減らすこと。
  • 被収容者が提出している要求書等に対しては、誠実に検討し回答すること。

Thursday, April 19, 2018

【抗議の呼びかけ】インド人被収容者の死と集団ハンストについて(東日本入管センター)


 マスコミ報道がいくつか出ていますが、東日本入国管理センター(茨城県牛久市)に収容されていたインド人男性(「Dさん」とします)が、4月13日(金)に死亡しました。報道によると、東日本センターはDさんの死を「自殺」によるものと発表しているもようです。Dさんは、亡くなった日の前日12日に仮放免申請の不許可を知らされたところでした。

 Dさんの死をうけて、東日本センターの被収容者のあいだでは、動揺といきどおり、悲しみが広がっています。ところが、Dさんの収容されていた区画(5Aブロック)の被収容者たちによると、当初、入管は、人がひとり亡くなったにもかかわらず、何ごともなかったかのように通常の業務をつづけていたといいます。

 そこで、15日(日)ごろから5Aブロックでは、Dさんを追悼できるよう花やDさんの写真を置くこと、また職員たちがDさんの死をいたむ意思を示すことを、被収容者たちそれぞれが職員らに求めたということです。その結果、東日本センターは、17日(火)になって、5Aブロックに花びんに生けた花とDさんの顔写真を置いて、まず職員がその前で手を合わせて祈りをささげ、被収容者たちがおのおののやり方でDさんを追悼できるようにしたようです。

 Dさんと寝食をともにしていた5Aブロック被収容者たちのショックはとくに大きなもので、多くの人がDさんの死亡した13日(金)の昼ごろから食事ものどをとおらず、シャワーを使用する人もほとんどいないという状況が続いているといいます。そうしたなかで、5Aブロック被収容者のうちほぼ全員である16人が、15日(日)の朝食からハンガーストライキを開始しました。

 この5A以外のブロックでも、仲間の被収容者が亡くなったということへのいきどおりと悲しみは強く、5Aにつづいてハンストに合流していくという動きがあいついで起きてきています。

 私たちは、17日(火)、18日(水)と、東日本センターで被収容者との面会をおこない、現在使用されている14ブロック中13ブロックの被収容者から聞き取りをおこないました。その結果、122名の被収容者がこのハンストに参加しているということがわかりました。東日本センターの現在の被収容者数は330名超ですが、このうちの3人に1人以上が参加していることになり、また120名以上というハンスト参加者数は、日本の入管収容施設においてこれまでに例のない史上最大規模のものといえます。

 ハンストをおこなっているそれぞれのブロックの被収容者に面会して聞き取りをしたところ、ハンストを通じての要求項目は、つぎのようなことがらであるとのことです。

  1. Dさんの死亡の原因について、自分たち被収容者に説明すること。ほんとうに自殺なのか、そうでないのか。自殺なのだとして、その原因はなんだと入管は考えているのか。センターの所長は、Dさんの死についてどう責任を認識しているのか。
  2. 長期収容をやめること。Dさんは仮放免不許可をつげられた翌日に死亡している。東日本センターをふくむ入管収容施設における、近年の超長期収容がDさんを死に追いやったのではないか。
  3. 医療を改善すること。診療を求めても、1ヶ月以上も待たされる。

 東日本センターでは、このように被収容者によるハンガーストライキがおこなわれています。被収容者たちは、入管の収容所での人権侵害の現状について、ひろく知ってほしいと望んでいます。下にあげる報道などもふくめて、情報の拡散にご協力ください。また、報道関係者の方々には、情報提供等、ご相談いただければ対応を検討いたしますので、ご連絡ください。

連絡先:junkie_slip999☆yahoo.co.jp (☆をアットマーク(@)にかえてください)

 また、可能なかたは、入管当局への抗議・意見提示をおねがいします。このたびの死亡事件、また、大規模ハンストの背景として、東日本センターにおける人権侵害、とりわけ長期収容の問題があることはまちがいありません。そして、その長期収容は、東日本センター独自の判断でおこなっているものではなく、法務省入国管理局からの指示のもとおこなわれているものでもあります。

抗議・意見提示の例
  • 健康な人であっても拘禁反応を生じさせる6ヶ月以上の長期収容をやめるべきである。
  • Dさんの死亡の原因・経緯について被収容者全体にていねいに説明するべきである。

抗議先
法務省入国管理局
  電話:03-3592-7090
  FAX:03-3592-7393

東日本入国管理センター(総務課)
  電話:029-875-1291
  FAX:029-830-9010







【関連リンク】

長期収容問題について
東日本センター被収容者は、3月中旬に長期収容をやめるよう求める要求書を連名で提出しています。

入管施設における収容とはなにか、また長期収容がなぜ問題なのかについては、以下の記事で解説しておりますので、参照してください。


Dさん死亡事件、およびハンストについての報道


Tuesday, April 10, 2018

入管施設の収容長期化問題について――被収容者「嘆願書」によせて




1.はじめに
 前の記事で紹介した「嘆願書」は、被収容者たち自身によって書かれた、長期収容をやめるようにとの要求です。ここで主張されている長期収容の不当性や、また被収容者たちのおかれた切実さをよりよく理解するために、入管による「収容」とはなにかということをふまえておきたいと思います。


2.入管の収容の目的はなにか?
 まず、嘆願書では「ここは刑務所ではありません」と述べられていますが、東日本入管センターなど入管収容施設の収容の目的はなんなのか、また、どのような人が収容されているのか、ということを述べます。

 東日本入管センターや大村入管センターに収容されている人々の大多数は、入国管理局(入管)からすでに「退去強制令書発付処分」を受けた外国人です。「退去強制令書(退令)」が発付されるのは、入管が審査をおこなって「退去強制事由」に該当するとした外国人です。「退去強制事由」とは、出入国管理及び難民認定法(入管法)第24条に規定されたもので、入管はこれに該当する外国人に対して退去強制(強制送還)をおこなう権限を与えられています。

「退去強制事由」として入管法に規定されているものはさまざまにありますが、ごく大ざっぱに言って、以下のようなことがらが「退去強制事由」にあたります。

(1)不法入国(正規の手続きをふまずに入国したということ)
(2)不法残留(入管が許可した在留期限をこえて日本に在留したということ。いわゆる「オーバーステイ」)
(3)資格外活動(在留にあたって入管に許可された範囲をこえた活動をおこなったということ。就労の認められていない在留資格で就労した、あるいは留学生が許可された時間の制限をこえて就労した、など)
(4)刑罰法令違反(在留中に刑罰法令に違反したといういうこと)

 (1)~(3)は、入管法にさだめられた手続きをふまなかった、あるいは、入管に許可された範囲をこえて在留や活動をおこなったという点で「違反」ではあります。もちろん、その違反行為そのものは、他者に危害をくわえたものとはいえませんが、これらは「退去強制事由」にあたるとされ、退令発付処分を受けた場合、送還対象者として原則として収容されることになっています。

 (4)は、窃盗や傷害、あるいは違法薬物などに関する犯罪行為によって送還の対象となるものですが、この理由で入管に収容されているひとは、すでに懲役刑などの処罰を終えています。むろん、刑務所での懲役等は、受刑者の更生・社会復帰を目的に科されるものですが、刑期を終えて出所したあとにさらに本人の意思に反して退去強制を科すことは、場合によっては、本人が更生してやり直すことを非常に困難にしてしまう、ということもありえます。

 (1)~(3)の入管法違反にせよ、(4)の刑罰法令違反にせよ、入管による収容は、犯罪行為に対する処罰・制裁としておこなわれているものではありません。では、入管の収容の目的はなにか。入管法にさだめられた収容の位置づけは、「退去強制を受ける者を直ちに本邦外に送還することができないときは、送還可能のときまで」収容することができるというものです(「出入国管理及び難民認定法」第52条第5項)。つまり、送還が可能になるときまでの一時的な身柄の確保ということにすぎないのです。

 したがって、嘆願書の述べる「私達収容者の中には、1年、2年の収容を越える人が多く、中には3年近くも収容されている人もい」るという事態は、きわめて異常なものなのです。


3.長期収容はなぜ問題なのか?
 送還までの身柄の確保という名目での収容にもかかわらず、収容期間が2年や3年をこえている被収容者が多数いるということ。これは、入管にとって送還の見込みのないにもかかわらず、いたずらに収容を長引かせ、被収容者に肉体的精神的な苦痛を不当に強いているということであって、収容権の濫用と言うべきです。

 私たち仮放免者の会は、6ヶ月をこえる収容は「長期収容」であるとして、これをやめるよう申し入れ等をこれまでもおこなってきました。入管での収容はきわめて過酷なものであって、遅い人でも収容期間が6ヶ月をこえるころには、例外なく拘禁反応とみられる症状(高血圧、不眠、頭痛、めまいなど)に苦しみはじめます。先の「嘆願書」は、「8か月から12カ月の収容は仕方ありません」と述べていますが、6ヵ月をこえた収容が人権・人道上の観点から問題だと十分に言える理由があるのです。収容期間が2年をこえることが常態化し、3年になる人すらいるという現状は、なおさら異常きわまりないものです。

 入管センターなどで面会活動をおこなっている支援者は、半年をこえて収容されていて健康上の問題がとくにないという被収容者と出会うことは、めったにありません。長期間収容されている人はほとんど例外なく、上に述べたような拘禁反応を発症しており、持病のある人はこれを悪化させています。そのうえ、入管収容施設の医療体制は貧弱きわまりないものです。300人超が収容されている東日本入管センターの場合、被収容者が診療を求める申し出をおこなってから受診できるまで1ヵ月ほど待たされるのが通常ですし、昨年の3月には、激しい頭痛を訴えていたベトナム人被収容者が1週間以上ものあいだ病院に搬送されずに放置され、くも膜下出血で亡くなるという事件もありました【注1】

 6ヶ月をこえるような長期収容と被収容者の人権尊重はけっして両立しえません。長期収容は、かならず被収容者の健康を害することになるからです。人間を健康が害されるほどに長期間監禁し、肉体的精神的な苦痛を与える行為を正当化することはできるでしょうか。懲罰がこれを受ける者にとって苦痛であることは、当然だと言われるかもしれません。しかし、入管の収容は法律上懲罰として位置づけられているものではないし、懲罰的な機能が生じてよいものでもありません。そして、かりに懲罰であったとしても、これを受ける人間の健康を破壊するような懲罰は、おこなってよいわけがありません。

 そういうわけで、長期収容は、人権侵害にしかなりえない、どのようにしても正当化できないものなのです。


4.長期収容を回避するために
 入管の収容目的は、先に述べたとおり送還のための身柄確保です。ところが、入管が送還の見込みがないにもかかわらず収容をつづけるために収容の長期化傾向が生じ、被収容者に無用無意味な苦痛を与えることになっています。こうした無用なだけでなく人権侵害をもともなう長期収容を回避するために、「仮放免」という制度を活用することができます。「仮放免」とは、就労しないことや移動の制限といった一定の条件のもとに一時的に収容を解くことです。

 しかし、「仮放免」は在留資格ではなく、依然として入管によって送還の対象とされていることにかわりありません。一時的な措置として出所が許可されているということにすぎないのです。仮放免の状態では、就労することも許されず、健康保険にも入れないため病気があっても通院もままなりません。

 つまり、仮放免で長期収容を回避することはできても、根本的な解決にはいたりません。収容が長期化している人をまずは仮放免するとともに、退令が発付されているけれども帰国しようにも帰国できない人について、在留資格を認め、その在留を合法化していくことも必要です。

 「嘆願書」にも述べられているように、入管センターには、「日本で生まれて日本しか知らない若者や、日本にしか家族がいない者、結婚し妻が外で待っている者、子どもが日本にいる者、自分の国に帰ることができない難民、日本に長期間滞在し自分の国に帰る場所がない者等」が多く収容されています。入管に摘発されて退令を発付された人の大多数は送還されています【注2】。送還される人のほとんどは「自費出国」といって、自分で航空機券代を負担して送還されています【注3】。そうして多くが送還されていくなか、「嘆願書」が述べているような事情でどうしても「帰国」できない人びとが、過酷な長期収容をたえている、というより「たえざるをえない」のです。

 退令発付処分を受けて送還対象になっているけれども、日本社会に深く定着していたり、あるいは「帰国」先に危険や生活上の困難があったりで、「帰国」しようにも「帰国」できないという人びとの存在は、2010年ごろから仮放免者の急増として次第に可視化されてきました。これは、バブル期以来の矛盾にみちた外国人労働者導入政策、そして、きわめて消極的な難民認定といった、日本の政策・制度の結果として生じている現象です。このことは、このブログでもこれまでくり返し示してきました【注4】

 こうした人びとを、法務省・入管当局が現在おこなっているように、長期収容・再収容、あるいは無理やりの送還といった送還執行の強化によって減らしていくということは、人権・人道上の見地から問題であるだけでなく、現実的に不可能であるということも、くり返し主張してきたとおりです。

 不法滞在状態にある人びと全員を送還によって「一掃」するなどという可能性は、極右思想にとらわれた者の頭にとりついた幻想のなかにしか存在しません。そんなことが現実的に可能なわけがないし、入管当局だって退去強制事由に該当する人をすべて送還しているわけではありません。退去強制手続きの過程で、あるいは退去強制令書を発付した後に、法務大臣権限で在留特別許可を出すということが入管法上できるわけですし、げんに入管当局はこれを一定程度活用してもいます。

 退去強制事由にあたるからといってこれをすべて送還の対象とするということは、現実的に不可能であるというだけでなく、そうすべきでない理由もあります。

 送還先で迫害等の危険があるひとを送還すべきでないのは言うまでもありません。

 また、違反内容とこれに対する処分のバランスの問題もあります。たとえば、長期間日本に滞在してきた人、あるいは送還されれば日本にいるパートナーや子と引き離されてしまう人の場合、強制送還がもたらす不利益ははかりしれないほど大きなものとなります。一般に、日本社会への定着の度合いが深くなればなるほど、送還という処分によって受けるダメージは大きくなるといえます。したがって、送還される人の状況によっては、強制送還という処分のもたらす不利益が、おかした違反行為に比して過分に重すぎるということも起こりうるのです。

 退去強制事由にあたるとされ退令をすでに発付された人びとについて、その在留を合法化して救済する制度がありながら、これを十分には活用せず、送還執行を厳格化するという無理な方針にに固執してきたということ。このことが、長期収容問題を生じさせているのだということは、広く理解されてほしいとおもいます。




【注】

1.以下の記事を参照。


2.『出入国管理白書』によると、たとえば2016年度の統計では、退令発付件数が7,241件、被送還者数が7,014人です。もちろん、退令の発付と送還の執行との間には時間差がありますので「退令を発付された7,241人のうち7,014人が送還された」と言えるわけではありません。しかし、退令発付された人のうち、およそ97%(7,014/7,241×100)は送還されていると推計しても大きくははずれていないでしょう。

3.『出入国管理白書』によると、2016年度の被送還者数7,014人のうち、6,575人(およそ94%)は自費出国。

4.たとえば、以下の記事などを参照。


Monday, April 9, 2018

被収容者110名超が長期収容・再収容の中止を要求(東日本入管センター)

訂正(2018年4月15日)
 この記事で紹介した嘆願書について、「5つのブロックにまたがって計110名以上が署名をしています」としましたが、正しくは「3ブロック計86名」でした。おわびして訂正いたします。
 なお、紹介した嘆願書は8A、9A、9Bの3ブロックの被収容者が連名で提出したものですが、これとべつに5A、5B両ブロックの被収容者が同時期にやはり長期収容の回避等をふくむ要求書を25名の連名で提出しています(この25名とこの記事で紹介した嘆願書の署名者86名を合計すると、記事タイトルにした「110名超」となります)。5A、5Bの要求書についても入手できしだい紹介したいと思います。
 
 補足(2018年4月23日)
  5A、5Bの要求書を公開しました。→ 収容長期化の回避等をもとめる被収容者連名申入書(東日本入管センター)



 東日本入国管理センター(茨城県牛久市)の被収容者が連名で「嘆願書」を出しました。「嘆願書」は、同センター長期収容・再収容をやめるように求めたもので、5つのブロックにまたがって計110名以上8A、9A、9Bの3ブロック86名が署名をしています。

 2016年1月から東京入管での仮放免者の再収容が激増し、同時に東日本センターほか、東京や大阪の地方局での収容長期化も顕著になってきました。再収容激増と「収容の超長期化」と言うべき状況において、2016年の2月と7月には大阪入管で、17年の5月には東京入管で、それぞれ被収容者による集団ハンガーストライキがおこり、広く報道もされました。

 大村入国管理センター(長崎県大村市)でも収容の長期化が顕著になっており、被収容者による連名の要求書があいついでいるところです。


 上記リンク先に述べましたとおり、大村入管センターの人権状況について、ひきつづき読者のみなさまに情報の拡散を、とりわけ報道関係者のみなさまには取材・報道を要請いたします。また、東日本入管センターにつきましても、同様にお願いいたします。

連絡先:junkie_slip999☆yahoo.co.jp (☆をアットマーク(@)にかえてください)

 以下、東日本入管センター被収容者の「嘆願書」の全文を掲載します。


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東日本入国管理センター所長殿
 この嘆願書は、私達収容者の気持ちを伝えたく書かせてもらいます。
 私達収容者の中には、1年、2年の収容を越える人が多く、中には3年近くも収容されている人もいます。
 なぜこんなにも長い収容が続いているのでしょうか。こんなにも長い収容を耐えるのは、日本に残りたいちゃんとした理由があるからです。重要な理由がないなら皆、帰っています。帰らないのは、気まぐれで帰りたくないというわけではありません。もちろんそういう人が全くいないというわけでもないのは確かです。そういう人はもちろん自分の国に帰るべきです。ですが、ほとんどの人はそうではありません。
 日本で生まれて日本しか知らない若者や、日本にしか家族がいない者、結婚し妻が外で待っている者、子どもが日本にいる者、自分の国に帰ることができない難民、日本に長期間滞在し自分の国に帰る場所がない者等、ちゃんとした日本に残る理由があります。理由がなければこんなにも辛くて長い収容生活を耐えることはできません。
 ここは刑務所ではありません。ここ、東日本入国管理センターという場所は、こんなにも長い時間私達を収容するための場所なのでしょうか。
 もちろん、ここにいる人は、何らかの理由でここに収容されています。
 私達は、間違いをしました。不法滞在、不法就労、犯罪、住所変更等、これらの理由すべては、私達の責任であり私達の間違いです。
 これらのことについて私達は深く心から反省しています。
 そしてその償いとして8か月から12カ月の収容は仕方ありません。
 自分の犯した罪の当然の報いです。ですが、それ以上の収容は、私達に肉体的、精神的苦痛を与えることです。
 私達には、自由権はないのでしょうか。自由権には、身体の自由について「犯罪により処罰される場合を除き、肉体的、精神的な苦痛を受けない」とあります。この法律は何のためにあるのでしょうか。
 ストレスが原因で病気になり、亡くなったものもいれば、ストレスが原因で病気になって今もここの中で苦しんでいる者も多くいます。これは、肉体的、精神的な苦痛を与えている証拠ではないのでしょうか。
 私達は人間として生きる権利があります。それとも私達外国人には何の権利もないのでしょうか。
 日本という国は、そういう国ではないはずです。だからこそ、日本は独裁国家ではなく民主主義の国のはずです。もし、この国が独裁国家なのであれば、こんな嘆願書は何の意味もありません。民主的の言葉の意味は、「どんな事でも一人ひとりの意見を平等に尊重しながらみんなで相談して決め、だれでも納得の行くこと」とあります。この反対は「独裁的」です。
 果して今の入管のやり方は民主的なのでしょうか。私達からすれば今の入管のやり方は独裁的です。重要な理由があってもそんなことはかまわず、長期間収容し、家族や大切な人から離し、それだけではなく肉体的、精神的な苦痛も与えているのです。辛い想いをしているのは、私達だけではなく、外で待っている人も同じです。家族とこんなにも長い間離されるということは普通のことではありません。ここが刑務所なら仕方ありません。ですが、ここ東日本入国管理センターは、刑務所ではないのです。
 日本は、グローバルリーダーであり、国連の模範的メンバーの日本が、基本的人権を無視し、独裁的な行いをし、私達外国人を苦しめて非人道的なことをしているのはまぎれもない事実なのです。
 私たちの願いと要求は長期間の収容をやめて下さい。そして理由のない再収容もやめて下さい。私達を早く社会に戻して下さい。
平成30年3月2日
東日本入国管理センターの収容者より
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 以上の「嘆願書」に関連して、解説記事を公開しています。「入管の収容がどのような目的でおこなわれているのか?」、また「どのような人が収容されているのか?」、そして収容長期化の問題について述べています。「嘆願書」とあわせてごらんください。


 また、長期収容・再収容に対する抗議としては、昨年の5月に東京入国管理局での被収容者による集団ハンガーストライキがあり、これはマスコミでも広く報道されました。



Tuesday, March 6, 2018

【抗議声明】ベトナムへのチャーター機での集団送還について


 先月に法務省がおこなったベトナムへの集団送還について、仮放免者の会として抗議声明を発表します。

 このチャーター機による集団送還については、2月16日の東京入管での申入れにおいても、抗議をおこないました。



 なお、移住連など9団体の連名での抗議声明も、すでに出されています。今回の送還についてくわしい状況を知ることができます。




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【抗議声明】ベトナムへのチャーター機での集団送還について

2018年3月6日

1.はじめに
 2月8日、法務省はベトナムに向けてチャーター機による集団送還をおこないました。
 各紙報道によると、法務省はこの集団送還について以下のとおり発表したとのことです。

 被送還者は、ベトナム人47名(男38人、女9人)で、年齢は8~49歳。滞在期間の最長は21年5カ月。約2600万円の費用がかかった。

 私たちは、本人の意思に反しての力づくでの送還に反対してきました。なかでもチャーター機を使っての集団送還については、被送還者の人数確保が目的化するなかで強引におこなわれる傾向が強くなるため、人権侵害がいっそう甚だしくなるものであり、これにはとりわけ強く反対してきました。

 今回の集団送還においても、こうした懸念は現実のものになりました。



2.送還による家族分離/長期滞在者の送還
 私たちが確認できた事例だけでも、日本人の配偶者のいる人が2名送還されました。送還によって家族を引き裂くことは、人権・人道上の観点から非常に問題であり、とうていこれを容認することはできません。送還されたふたりはもとより、日本に残された配偶者もそれぞれ生活を突然破壊されたことに大変に困惑しています。法務省には、本人からの申請がありしだい、送還された配偶者を呼び戻して日本でふたたび夫婦での生活を取り戻せるよう、必要な措置をとることを求めます。

 また、法務省発表では今回の被送還者の滞在期間の最長は21年5ヵ月であったとのことですが、日本での滞在が長期間にわたっていた人を本人の意思に反して送還することは、婚姻のケース同様、日本できずいてきた生活基盤や社会的な関係性から無理やりに引きはがすことにほかなりません。

 婚姻や長期滞在によって日本社会への定着性が高い人ほど、強制送還によって受ける不利益・損害は大きなものになります。強制送還という処分が、違反内容に対するペナルティとして過分に重すぎるということも起こりうるのです。家族、あるいは長く生きてきた親密な社会から絶たれ、自分の生きてきた人間関係・社会そのものを失うことは、超過滞在や不法就労、不法入国などの行為へのペナルティとしてあまりに重いものであり、違反内容に対する処分の重さのバランスをあきらかに欠いています。



3.難民申請者の送還
 2014、15、16年におこなわれた集団送還と同様、今回もまた、難民審査の異議申立(審査請求)棄却を通知された直後に身体を拘束され強制送還されるという事例がありました。

 今回の被送還者のひとり(「Aさん」とします)は、収容されていた東京入管において、送還前日(2月7日)の夕方に別室に呼ばれ、審査請求の棄却を通知されたうえで、不服であれば6ヵ月以内に難民不認定処分について取消訴訟を提起することのできるむね教示されたといいます。ところが、この教示をおこなった職員が退室すると、10名ほどの職員が入室してきてAさんの両脇をかかえて連行し、被送還者たちの集められたブロックの一室に押し込めたとのことです。Aさんは未明のうちに羽田空港へと連行され、ハノイ行きのチャーター機に乗せられてしまいました。

 チャーター機をもちいた集団送還においては、難民申請者に対するこのような手法での送還がくり返されてきました。異議申立(審査請求)棄却を通知してその直後に送還をおこなうという手法は、難民不認定という行政処分に対して訴訟の機会をうばうものです。

 2014年12月に集団送還されたスリランカ人のうち3名は、こうした異議申立棄却直後の強制送還によって裁判を受ける権利を侵害されたとして国家賠償請求訴訟を提起しております(1名は2016年8月2日に名古屋地裁に提訴、2名は17年10月19日東京地裁に提訴)。法務省はこのように今まさに裁判で係争中の送還の手法を今回もとったのであり、暴挙に暴挙をかさねたというべきです。



4.次年度の予算獲得と継続そのものの目的化
 チャーター機での送還は、法務省が「送還忌避者の専属輸送による送還経費」との名目で獲得した予算によりおこなわれているものです。ところが、今回送還された人のなかには、送還をこばむ「送還忌避者」とは言えない帰国希望者が相当数ふくまれていたことが、収容場で同室だった人などからの聞き取りで明らかになっています。

 帰国を希望しているものの旅費をみずから用意することが困難な送還対象者を国費で送還することについて、私たちとしては異議はありません。しかし、「送還忌避者」を送還する目的で予算を獲得している以上、これによって送還された人の何名が「送還忌避者」であったのか、すくなくとも法務省は公開すべきです。もともと帰国を希望していた人をも被送還者数に数え上げることによって、実績をいわば「水増し」するようなことは、適切だとは言えません。

 2013年に法務省がはじめたチャーター機による送還は、これを次年度も予算を獲得して継続していくということ自体が目的化しているふしがあります。当初、法務省はチャーター機の活用は「コスト、安全の両面で一石二鳥の方法」だとしていました。集団送還は、個別送還にくらべて被送還者ひとりあたりの費用を安くおさえられるというわけです。チャーター機の活用がはじまった2013年度予算の概算要求において、法務省は計200名を送還するための費用として3,000万円を計上していました。被送還者1人あたり15万円という計算になります。翌14年度もおなじです(ちなみに、15年以降は概算要求に被送還者数をどのくらいの規模で想定しているのか、法務省は明示しなくなりました)。ところが、予算の増減などはありましたが、法務省が当初想定したコストの抑制効果を実績は大きく裏切るかたちになっています。


  • 2013年7月6日  フィリピン人75名を送還
  • 2013年12月8日  タイ人46名を送還
  • 2014年12月18日  スリランカ人26名とベトナム人6名を送還
  • 2015年11月25日  バングラデシュ人22名を送還(3,500万円の経費。1人あたり約159万円
  • 2016年9月22日  スリランカ人30名を送還(3,700万円の経費。1人あたり約123万円)
  • 2017年2月20日  タイ人32名、ベトナム人10名、アフガニスタン人1名を送還
  • 2018年2月8日 ベトナム人47名を送還(2,600万円の経費。1人あたり約55万円)


 コスト面での「メリット」があるという当初の法務省の説明は、すでに説得力をうしなっているのです。法務省は、チャーター機に同乗させた「送還忌避者」とは言えない人たちまでも被送還者数に数え上げることでその実績を誇張するのではなく、次年度以降の継続はせめていったん白紙にもどして検討しなおすべきでしょう。



5.送還執行の強化では問題は解決しない
 また、近年大幅に増大した「送還忌避者」を減らしていく手段として、チャーター機を活用するという法務省の方針についても、見直すべきです。

 「送還忌避者」の増大は、とくに仮放免者数の増加としてあらわれています。退去強制令書を発付された仮放免者の人数の増加は、2010年以降に顕著になります。この増加は、政府が「不法滞在外国人の半減5か年計画」と位置づけた2004~08年の集中摘発に起因するものです。摘発された非正規滞在者の大多数は帰国していったものの、徹底的な摘発と強硬な送還方針は、一部のどうしても帰るに帰れない非正規滞在者の存在をあぶりだす結果になったのです。難民であったり、あるいは日本に家族がいる、滞在期間が長期にわたるといった事情をかかえる人たちのなかには、送還をこばみ、長期収容や再収容にたえ、2010年の西日本と東日本の両入管センターでたたかわれた被収容者によるハンガーストライキをへて、仮放免されていったひとも多かったのです。

 現象としてはこのような経緯で仮放免者が増加してきたわけですが、より本質的にみるならば、バブル期以来の外国人労働者政策に問題の根本をみることができます。外国人労働者を導入する場合、その一定数が日本社会に定着・定住していくことになるのは必然です。ところが、この定着・定住のプロセスを予想・想定した外国人労働者受け入れ政策が日本政府によってとられることはありませんでした。それどころか、外国人の定着・定住を徹底的に忌避しようとする意思が日本政府の制度設計・制度運用においては働いていたとすらいえます。そのことがはっきりとあらわれているのが、日本政府が外国人労働者の受け入れについて「専門的な知識、技術、技能を有する外国人」に限定するという制度的な建前を公式上はかたくなに保持してきたということです。ところが、こうした建前とはうらはらに、日本社会は非専門的な分野においても、非正規滞在者をふくむ外国人労働者に大きく依存してきたのです。

 2004年に始まる集中的な摘発は、入管はともかく警察は以前にはあきらかにその存在を黙認してきた非正規滞在者に対して、「不法滞在」を理由に徹底的な排除をくわだてるものでした。ところが、これによって多くの人が摘発・送還される一方で(法務省統計によると、不法残留者数は2004年の219,418人から2009年には113,072人までまさに「5か年」で「半減」しています)、先に述べたように帰国しようにも帰国できない人たちの存在をあぶりだしたのです。その帰国できない事情は人によりさまざまですが、多くの「送還忌避者」に共通する要素が、すでに日本社会に定着・定住していたということでした。

 つまりは、摘発・送還によって日本政府が力ずくでの排除を強化していったさきに、かえって増大していったのが法務省の言うところの「送還忌避者」にほかなりません。その増大の要因の根本には、場当たり的で矛盾にみちた外国人労働者導入政策があるのです。

 「送還忌避者」を力ずくで減らしていこうという方針は、仮放免者数がもはや3,000人をこえている現状にかんがみても、すでに破綻しているものと言わざるをえません。この破綻した方針に固執することは、帰国しようにも帰国できない人をただいたずらに苦しめることにしかなりません。チャーター機による集団送還、そして再収容(再々収容)や長期収容といった送還執行の強化ではなく、仮放免者の在留を合法化していく(在留特別許可)ということでのみ、「送還忌避者」の問題を解決にむかわせることが可能です。



6.元技能実習生・元留学生の送還
 さて、今回ベトナムに送還された人のなかには、技能実習生や留学生として来日した人が多数ふくまれていました。

 技能実習制度は、公式的には、技能実習を通じて開発途上国への技術移転をおこない日本として国際貢献をおこなうという趣旨の制度です。しかし、実態としては、この本来の名目は完全に形骸化しており、労働力不足に直面している中小零細の製造業や農業などにおいて労働力確保の手段となっています。つまり、この制度は、「専門的な知識、技術、技能を有する外国人」以外の外国人労働者は受け入れないという建前をかいくぐって脱法的に外国人労働者を導入する手段として利用されているのです。

 技能実習生の多くは、劣悪な労働環境において低賃金で働いており、雇用主からの暴力や暴言を受けている人も少なくありません。ところが、こうしたあつかいにたえかねて実習先を離れれば、在留資格の更新ができなくなり、「不法滞在」「不法就労」として入管の摘発の対象になってしまいます。

 留学についても、非専門分野での外国人労働者は受け入れないという制度的な建前があるなかで外国人労働力を必要とし、またこれに依存している職場が存在し、労働力めあてで留学生を日本に呼び込むということが現におこなわれています。

 入管に摘発されたベトナム人元留学生に聞き取りをおこなうと、その多くは、現地のブローカーから、日本に行けば勉学をしながら生活費と学費をまかなえるだけの仕事ができると誘われて来日したといいます。また、そのさいに留学の在留資格では週28時間をこえる労働は許可されないことなどは事前に知らされていなかったという例もしばしばです。実家からの仕送りをあてにできない多くのベトナムなどの留学生は、学費と自身の生活費を捻出するために許可された労働時間をこえていわば「違法に」働かざるをえないのです。そうしたなかで、学業との両立がかなわずに、あるいは学費を支払えずに、専門学校や大学をやめざるをえず、在留資格をうしなう人も少なくありません。

 こうして入管の摘発対象になった元技能実習生や元留学生もまた、日本の場当たり的で矛盾にみちた外国人労働者政策の犠牲者であるということができます。つまり、外国人労働者を正面から受け入れるのではなく、場当たり的に呼び込んでは不安定な地位に置きながら安価な労働力として利用するということを、官民ぐるみでいまなお続けていることが、あらたな「送還忌避者」を生み出す要因になっているのです。



7.結語
 以上みてきたように、「送還忌避者」の増大という問題は、外国人労働者や難民受け入れをめぐる政策・制度の不備やゆがみの反映にほかなりません。こうした政策・制度が生じさせている問題を、力ずくでの送還というかたちで送還される外国人にもっぱら負わせるのは、公正さをいちじるしく欠いています。無理やりの送還、とりわけチャーター機を活用した集団送還を今後おこなわないよう、もとめます。

仮放免者の会